クマが変わったのか、人が変わったのか 人間を避けない“新世代クマ”増加の背景とは【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】

年々増加している「新世代クマ」って!?
人間を避けなくなったクマたち
近年、全国でクマの目撃情報が急増し、人里に現れるケースも珍しくなくなってきました。なかでも注目されているのが、いわゆる「新世代クマ」と呼ばれる存在。これは従来のクマとは異なる”行動パターン”や”習性”を持つとされる、比較的新しいタイプのクマたちのことです。
たとえば、人間の存在や生活音に対する警戒心が薄く、昼間でも平然と民家周辺に現れる。あるいは、人間が捨てたゴミや農作物などを食べ慣れてしまい、食べ物目当てに定期的に出没する……。そんな行動が報告されています。
背景にあるのは、山奥に十分なエサがない年があること、親グマが人里に近づいて食べ物を得る行動を子グマに見せて”学習”させていること、そして人間がクマにとって「必ずしも危険ではない」という成功の経験を積んでしまったことです。これにより、本来であれば人を避けるはずのクマが、「近づけば食べ物がある」と認識するようになってしまいました。
特に問題なのは、そうした経験を積んで育った”新世代”のクマたちは、人間との距離感が最初から近いということ。対策をしないままでいると、さらに多くのクマが人の暮らしのなかへと入り込んでしまうかもしれません。新世代クマとは、クマの側の問題ではなく、私たち人間の暮らし方の”鏡”でもあるのです。
従来のクマと新世代のクマの違い
従来のクマに比べて、新世代のクマは昼に人里に現れ、人のそばに近寄り、ドングリではなくゴミや農作物を食べます。

どう防ぐ? 新世代クマとの接点
クマが人里に現れるのは、自然のせいではありません。変わったのは、私たち人間の暮らしのほう。共に生きるためには、今こそ「ほどよい距離」の知恵が必要です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
監修:山﨑晃司
世界中数多くの動物園で飼育され、アニメや漫画、ファンシーキャラクターのモチーフとしても起用されることの多い人気の動物「クマ」。
最近では日本全国で目撃が相次いで発生したり、温暖化の影響で冬眠をしないクマも確認されたりすることから、話題に事欠かない今大注目の動物です。
しかし、ペットとして飼うことは難しく、ときに人を襲う恐ろしい側面も持ち合わせるクマ。
それなのになぜ人間にとって馴染み深く身近な存在に感じるのでしょうか。
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「ホッキョクグマは皮膚が真っ黒で毛が透明?」「年々増加している“新世代クマ”って!?」
「イエティとビッグフットの正体はクマ?」
愛玩動物、猛獣、食用、ワーキングアニマルなど、さまざまな角度からクマの生態と特徴を解説し、クマの知られざる魅力に迫ります。
これを読めばクマのことがもっと好きになること間違いなしの一冊です。
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