真面目に聞くから傷つく? 怒っている人の言葉をあえて「ただの雑音」として扱う防衛術【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

他人・自分と上手につき合うテクニック
【Q】怒っている相手に萎縮してしまいます
【A】3つの「聞く」を使い分けてみましょう
顔を真っ赤にしてまくしたててくる相手に対して、冷静に対処するのはなかなか難しいですよね。こんなとき、相手の言葉をしっかり聞こうとすれば自分が傷ついてしまいますし、「まあまあ落ち着いて」なんていおうものなら、火に油を注ぎかねません。
人の感情も熱量も不変ではありません。ずっと怒っていれば、相手は疲れて熱量も下がっていきます。それまでは、相手の言葉を音声として聞き流す(hear)のがいちばんです。相手が疲れてきたら、「あなたがいいたいのはこういうことですよね」と要約して尋ねる(ask)とよいでしょう。
3つの「聞く」テクニック
音声として「hear」で聞く
相手の言葉にしっかりと耳を傾けてしまうと、自分が傷つく一方です。どんなに怒っている人も、まくしたてているうちに疲れて、怒りも下火になっていきます。それまでは、意味のない音声として「hear」で聞き流しましょう。

メッセージとして「listen」で聞く
重要な内容にさしかかったときは、「listen」に切り替えて、相手の言葉に耳を傾けます。「hear」と「listen」の使い分けは、話が長い相手や井戸端会議といった場面でも使えるので、試してみてください。

「ask」で相手の発言を要約する
相手が怒り続けたことで疲れ、トーンダウンしてきたら、相手の話を要約して「こういうことですよね」と尋ねます(ask)。この流れで、「感情・意志の境界」「責任の境界」を引き直すとよいでしょう。

「次」に向けてのテクニック
相手ときちんと対話や議論をしたいなら、相手が疲れてきたときに、話し合う場をつくることを提案するのもよいでしょう。「これ以上お時間をいただくのは恐縮ですので、後日お話しする機会をいただくのはいかがでしょう」など、相手を怒らせない伝え方がおすすめです。
【出典】『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ
【著者紹介】
長谷川 俊雄
白梅学園大学名誉教授、社会福祉士、精神保健福祉士、NPO 法人つながる会代表理事、social work lab MIRAI 代表。
1981年から横浜市役所の社会福祉職として現場で活動したのち、精神科クリニックのソーシャルワーカーに転職。その後、愛知県立大学での教員経験を経て、2009年に「NPO 法人つながる会」を設立。2010年から白梅学園大学に移り、教育・実践・政策提言に携わる。2023年に「social work lab MIRAI」を開設し、援助職支援や家族支援にも取り組む。「バウンダリー」についてのワークショップを各地で行っている。
【イラストレーター紹介】
高木ことみ
ゆるくてかわいいイラストを制作するイラストレーター。とくに、難しい内容を図やイラストを用いてわかりやすく伝えることが得意。見ている人に親しみを感じてもらえるような表現を心がけている。おもな作品に『ゆるゆる稼げるWeb ライティングのお仕事はじめかたBOOK』(技術評論社/表紙・本文イラスト)、『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社/表紙・本文イラスト)など。
【書誌情報】
『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』
著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ
「バウンダリー」とは、自分と相手の合意のもと「ここからは立ち入らないでね」という境界線を引くことで、「わたし」と「あなた」の安心・安全・尊厳を守る考え方です。
本書はこの境界線を引く考え方から、仕事・家庭・人づきあいの中のしんどい場面で実践できる具体的な対処法まで、あわせて紹介します。
・怒っている相手に委縮してしまう
→「hear」「listen」「ask」3つの「聞く」を使い分ける
・NOと言えない
→即答せず「持ち帰る」だけでもOK
・苦手な目上の人がいる
→相手への「評価」の置き方を変えてみる
・長い会議で人疲れする
→深呼吸や簡単な瞑想で境界線をリセット など
人間関係をもっとラクに、安心・安全にするために、「わたし」と「あなた」のあいだに心地いい境界線をつくるためのアイデアを紹介します。
「仕事や責任を押しつけられて、いつも自分ばかり損をしている」
「人の言動や気持ちに影響されて、振り回されてしまう」
「人を優先しすぎて、自分の時間や人生がすり減っていく」
「つい家族やパートナーに干渉しすぎてしまう」
「人間関係がしんどくなり、リセットを繰り返してしまう──」
こうした人間関係の悩みの根本には、バウンダリー(境界線)の混乱が隠れているかもしれません。
バウンダリーの考え方を取り入れることで、これまでとは違う視点から人間関係の問題を整理し、自分をすり減らさない選択ができるようになります。
■バウンダリーを5つのカテゴリで整理
バウンダリーを
「からだ」「感情・意志」「責任」「時間」「お金」
という5つの領域に分けて紹介。
人間関係の悩みがどの境界線の混乱から生まれているのかが見え、状況を冷静に捉えやすくなります。
■「ライン」と「ベルト」で境界線を使い分ける
境界線を細い「線(ライン)」だけでなく、状況に応じて幅をもたせた「ベルト」として捉える考え方も提案。
相手や場面によって無理なく距離を調整する方法がわかります。
境界線を引けるようになると、
・自分のからだと心を危険や消耗から守れる
・安心・安全で心地よく過ごせる
・誰にも支配されず、自分の感情や考えを大切にできる
・自分の行動や価値を、自分で決められる
ようになります。
しんどい人間関係に悩むあなたへ。
自分も相手も尊重しながら、人と関わるための一冊です。
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