脱水症状から骨密度低下まで。プロテインパウダーの過剰摂取がもたらす8大リスク

プロテインの過剰摂取は筋トレと健康に逆効果

プロテインパウダーはあくまで「補助」

 プロテインパウダーですが、パウダーだと食事よりも満腹感を感じにくく、過剰摂取のリスクが高まります。プロテインパウダーの過剰摂取が身体にもたらす異変には、次のようなものがあります。


(1)脱水症状

 過剰なプロテインの摂取によって体内に尿素やアンモニア、クレアチニンなどの代謝産物が蓄積されると、これを腎臓でろ過して排出するために尿量が増加して、体内の水分が減少する可能性が上がることが、2010年、アメリカのノースカロライナ大学のレビュー論文で発表されています。

 また、プロテインパウダーに含まれている塩分も、排出される過程で水分を必要とするため、過剰な塩分も脱水症状の原因となります。

(2)腸機能の低下

 プロテインパウダーに増粘安定剤として含まれているカラギーナンによって腸内のガスが 増加し、下痢を引き起こす可能性が、2016年にトゥルク大学から発表されたレビュー論文によって示唆されています。

 また2018年には、イスラエル工科大学からカラギーナンの過剰摂取で腸の炎症や過敏性腸症候群の発症リスクが上がるというデータも出ています。アメリカ食品医薬品局(FDA)の発表では、パウダーに含まれる程度の量であれば心配ないとされていますが、個人差もあるので摂り過ぎには注意しましょう。

(3)肌環境の悪化

 プロテインの過剰摂取による栄養バランスの偏りからホルモンバランスが崩れ、インスリン様成長因子のレベルを高めてアクネ菌の増加を促し、ニキビの発生率を上げるというデータ(2012年、ドイツ・オスナブリュック大学)のほか、腸内環境の乱れや皮脂分泌が促進されて肌荒れの原因となります。

(4)肥満の進行

 プロテインパウダーは1食分で約100kcalになるため、摂取カロリーが大幅に上がるだけでなく、糖の過剰摂取がインスリン感受性に影響を与え、糖質が脂肪として蓄積されやすくなって肥満につながる可能性があります。

(5)腎機能の低下

 過剰なプロテインの摂取によって蓄積された余分な代謝物は腎臓でろ過し・排出されるため、腎臓の負担が増加して腎機能が低下します

 ハーバードメディカルスクールが行った、11年間の長期的な調査によれば、乳製品以外の動物性プロテインの過剰摂取によって、腎機能が低下するというデータが出ています。

(6)肝機能の低下

 タンパク質は胃や十二指腸で消化され、小腸でアミノ酸となり体内に吸収されますが、吸収しきれなかったアミノ酸は窒素に変換されます。窒素は毒性が強いアンモニアとなり、肝臓で毒素を中和して尿素に変え、尿として排出されます。

 プロテインの過剰摂取はアンモニア量を増加させ、肝臓が疲弊して肝機能が低下しやすくなります。

(7)骨密度の低下

 1998年にアルバートアインシュタイン医科大学から発表された研究によれば、プロテインの過剰摂取によって代謝の過程で生じる酸を中和するために骨内のカルシウムが使われ、骨密度の低下につながることが明らかになっています。

(8)がん発症率の上昇

 2024年7月、WHOからプロテインパウダーをはじめさまざまな食品に使用される人工甘味料・アスパルテームに発がん性の可能性があることが発表されました。WHOでは1日の許容摂取量を体重1kgあたり40mgとしています。


 プロテインを過剰摂取した場合、最初に消化器系の不調が現れます。胃の不快感や膨満感、便秘や下痢などの症状が出たときは、一度プロテインパウダーの摂取をやめて食材でのタンパク質量を増やしてみましょう。肌の不調や身体の疲労感が出たときも同様です。

 栄養補助食品であるプロテインパウダーは、食事だけではタンパク質量が足りないときに補助する目的で摂取することが基本です。プロテインパウダーを摂らないと筋肉が大きくならない、と勘違いしている人も多いですが、あくまでも補助として用い、摂り過ぎないようにしましょう。

タンパク質が体内で吸収され排出されるまでの流れ

プロテインの過剰摂取はアンモニアの量が増え、
中和するために肝臓が疲弊し、肝機能が低下しやすくなる


【出典】『鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ』著:理学療法士・パーソナルトレーナー 論文男

【著者紹介】
論文男(ろんぶんおとこ)
理学療法士。パーソナルトレーナー。現役理学療法士として、小児・スポーツ選手・高齢者のリハビリに従事する傍ら、13年以上の指導経験を生かし、科学的データに基づいたエビデンスレベルの高いトレーニング方法を発信。年間500本以上の論文を読み漁り、最新研究を現場で実践に落とし込む。YouTube 『論文で解決 〜筋肉と栄養を科学する』は登録者23万人以上。3児の父として、忙しいワーカー向けに最短で理想のボディを作るメソッドも開発。筋トレ・栄養・リカバリーを科学的に体系化した指導に定評がある。

【書誌情報】
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