「書きたい」だけでは落とされる?電撃小説大賞出身の著者が教える、新人賞を勝ち獲るマーケティング力

書く前にやっておきたい編集目線の下準備

物語を書きはじめる前に、用意しておきたいことがあります。「どの賞を狙うか?」「その賞の読者は?」執筆に入る前に、スケジュールまで設計していくことが大切です。


「なぜ書くのか」を言語化する

書く前に「なぜこの物語を書くのか」を言語化すると、作品の軸が固まります。動機が明確なほど構成が迷わず、誰向けに書くかの意図がぶれなくなります。

要点

  • 動機の言語化で作品の軸が定まる
  • 届けたい相手を想定すると語り口が決まる
  • 物語と時代がマッチすると選考でも強くなる

【編集者】強い動機をつらぬけば、作品の軸はぶれない

 作品を通して、そこに潜む書き手の意図はにじみ出ます。なぜ今この物語を書くのか、誰に向けて届けたいのか。創作の動機が明確な原稿は、語り口にも迷いがなく、初稿から1本の筋が通っています。逆に、感情の勢いだけで書き出した原稿は、途中で焦点が散り、主人公の行動理由も薄くなりがちです。

 動機を言語化する際は、「誰のどんな状況と響き合う物語なのか」を考えてください。たとえば“孤独”を書くにしてもしその孤独が現代のどんな空気と結びつくのかまで言葉にすると、物語は読者に届く必然性を帯びます。動機と社会の温度がつながったとき、作品の強度は一段上がります。

 言語化した「なぜ書くのか」という強い動機が揺らがない限り、物語はどれだけ複雑でも軸を失いません。創作の最初の工程として動機を定めることは、最後まで読まれる作品を作るための土台なのです。

【作家】時代と読者を意識したマーケティングを

 書きたい物語を書く、という動機と姿勢は書き手にとってとても重要です。なぜなら、作品を最後まで書き切るモチベーションにつながるからです。

 ただし、注意してください。あなたの書きたい物語は時代にフィットする内容ですか? 読者の心に届いて共感を得られますか?

 創作物語とは、それがどんなジャンルであろうと、明確なテーマを持ち、メッセージを発信しなければなりません。それら2つの要素がストーリーを介して読者に投げかけられ、なんらかの感情のうねりを呼び起こしてこそ“面白い作品”として成立します。

 つまり、書きたいという姿勢は創作において必要不可欠ですが、「なぜ書くのか」の動機を言語化するうえで、時代と読者を意識したマーケティング力が求められます。賞に応募して選考を通過する作品は、必ずこのツボを押さえています。

思いつきだけで書いても選考を通過しない

  • なぜこの物語を書くのか
  • 誰に向けて書くのか
  • 誰のどんな状況と響き合う物語なのか
  • 今の時代にマッチした内容なのか
  • 最後まで書き切れる内容なのか

【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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