【小説賞を狙う】受賞作は偶然生まれない!執筆前にやっておくべき「読者層と媒体」の分析

賞を勝ち獲る作品かどうかは、書く前からすでに決まっている

落選する理由は文章力や書き方ではない

 賞の結果を見て、「文章力が足りなかったのだろうか」「もっと感動的に書くべきだったのか」と振り返る書き手は多いのではないでしょうか。確かに、表現の巧拙が評価に影響する場面もあります。しかし実際には、落選の理由が“書き方”以前にあるケースが非常に多いのです。

 実は、賞を勝ち獲る作品かどうかは、原稿を書きはじめる前の段階で、かなりの部分が決まっています

誰に向けて書いている? 時代のニーズに呼応しているか

 書き方以前に確認されるのは、「この物語は、誰に向けて書かれているのか」という点です。想定している読者はどこにいるのか。どの媒体に載せることを前提としているのか。そして、その読者が今、どんな作品を求めているのか。こうした前提が曖昧なまま書かれた原稿は、完成度が高くても、選考の場で評価が噛み合わなくなります

 たとえば、物語の語り口が、今の時代の温度とズレてしまうことがあります。じっくりと読ませる重厚な作品が求められる場もあれば、スピード感や導入の強さが重視される場もある。その違いを意識せずに書かれた作品は、「悪くはないが、今ではない」という判断になってしまいます。これは才能の問題ではなく、企画段階での視点の問題です。

“企画”は物語の方向を定め、作品の持つ意味を強くする

 書き手にとって「企画」という言葉は、創作を縛るもののように感じられるかもしれません。しかし企画とは、物語を制限するものではなく、方向を定めるための地図です。読者層や媒体、時代の空気を整理することで、物語の強みや、どこを際立たせるべきかが見えてきます。書きながら迷子にならず、何を捨て、何を残すかの判断も速くなります。中心に置く問いが定まれば、プロットの取捨選択にも迷いません。

 本書は、「とにかく書く」ことを否定しません。そのうえで、“編集目線”を通して「書く前に考えておくとよいこと」を整理していきます。企画段階で一段深めるだけで、同じ物語がまったく違う評価を受けることもあります。賞を勝ち獲る作品は、偶然生まれるものではないのです。書きはじめる前から、勝負を有利に運びましょう。


【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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