【賞レースに勝つ小説術】抽象的な印象だけで書くと大爆死?執筆前に読者ターゲットを“超具体的”に絞り込むべき理由

書く前にやっておきたい編集目線の下準備

物語を書きはじめる前に、用意しておきたいことがあります。「どの賞を狙うか?」「その賞の読者は?」執筆に入る前に、スケジュールまで設計していくことが大切です。


読者ターゲットは超具体的にイメージ

「10代向け」などの大まかな分類では設計精度が上がりません。年齢・媒体・読書量を「数値と行動」で捉えることで、物語の語り口と密度が安定します。

要点

  • 読者の具体的な年齢を設定する
  • 想定読者の読書量を考える
  • ターゲット設定の精度で読み心地が変わる

【編集者】読者像を数値で“見える化”する

 読者を「若い人」「大人」といった印象だけで捉えてしまうと、展開の速度や語彙の難易度がぶれ、物語の読み味が安定しなくなります。そこで有効なのが、年齢・媒体・読書習慣といった行動データを踏まえた読者想定です。

 たとえば「15~18歳・Web投稿中心・月3冊読む層」と設定すれば、導入は短めに、説明は最小限に、感情の動きをわかりやすく配置する必要があります。一方、「30代・文芸誌中心・長編志向」の読者なら、語彙の厚みと心理の余白が求められます。読者の行動を数字で捉えると、文章の密度・展開速度・描写量の判断が明確になります

 ターゲット設定の精度は、編集者にとって作品の“読み心地の保証”です。誰に読ませたいのかが明確な原稿は、語り口が自然と整い、選考でも「読み手を意識して書かれている」と伝わります。読者像を数字で定義することは、物語の言語設計ともいえます。

【作家】編集目線を持つ書き手はターゲットの心をつかむ

 『彼を知り、己を知れば、百戦して殆からず』とは、かの孫子の有名な教訓のひとつ。敵情を知ると同時に自分を知ることが勝負に最重要だと説いています。賞応募も同様、分析が要です。

 応募する賞の特性、過去作、読者傾向を鑑みたうえで、自分の作品が合致するかを徹底的に吟味しましょう。刊行された受賞作の表紙デザインを見ただけで、想定読者のターゲットが把握できるくらいの感性は持ち合わせるべきともいえます。

 実はこれ、編集目線を持つ書き手であるか、というリトマス試験紙的な一次選考でもあるのです。

 読者メディアが紙媒体からタブレットやスマートフォンへと多様化する中、ピンポイントでコアターゲットの心を鷲づかみにする執筆スキルが求められます。賞レースで勝ち残るには、まず読者層を具体的かつ正確にイメージすることからはじめてください。

本の表紙を見ればターゲットを把握できるレベルになろう

【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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