情景描写は景色を説明するだけではない――賞を勝ち獲る小説の書き方vol.7

出典:新刊『プロの編集者&小説家が教えるクリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』より

はじめに(リード文)

小説家、ラノベ作家、シナリオライターなどになるべく、日々創作活動に打ち込むクリエイターたち。その夢の登竜門として、さまざまな出版社や小説投稿サイトで開催されるコンテストでの受賞を目指している方も多いのではないでしょうか。しかし、最終審査まで残り、その上受賞する作品は一握り。そうなると「面白い作品なのに、選考が通らない!」という悩みもおのずと出てくると思います。その悩みの突破口となるのは “編集目線”。

日本文芸社人気シリーズの最新刊『プロの編集者&小説家が教えるクリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』では、その“編集目線”を小説の書き方に取り入れた一冊。今まで何千何万もの作品に目を通してきた小説投稿サイト『Nola』の編集者たちとプロの小説家である秀島迅氏がタッグを組み、読み手と書き手の二つの視点から、普段は明かさない小説を書くために絶対必要なスキルやポイントを徹底解説。

本記事は、書籍の本文の一部をWeb記事用にアレンジして紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください!

天気や景色は“感情の表現”として使う

編集者は情景描写が物語の空気を決定づける“心理の補助線”として機能しているかを見ています。

天気や景色は単なる雰囲気づけではなく、場面の方向性を匂わせる役割を担います。

迷いの場面での曇天、決意の直前に風景が開ける描写などは、心理の変化と連動させて初めていきるでしょう。

こうした外界の象徴性で、人物の感情が説明なしに伝わります。

ただし、情景描写を使いすぎれば説明過多になり、物語のテンポが損なわれかねません。
感情を直接書き出すか、情景描写に託すか、場面に応じた選択を意識してください。
たとえば「曇り空」を描いただけでは気持ちの落ち込みまでフォローできません。

雲の様子や時間帯、湿度などに触れ、五感と心理状態を紐づけることで、情景は初めて感情を代弁するものになります。

五感を使えば、読者は“見ている”感覚になる

編集者が文章を読んでまず判断するのは、場面が頭に浮かぶかどうかです。

光の色、音の反響、空気の温度、人物との距離感──こうした五感の“手がかり”が自然に織り込まれることで、読者は場面を「理解する」のではなく「見ている」感覚になります。

ビジュアライズとは、五感の連動で場面に立体感を与える技術です。
しかし、色、音、匂い、温度の情報をすべて書けばビジュアライズされるというわけではありません。

たとえば「湿った夜気の中、街灯の光が足元だけを薄く照らす」と書けば、湿度・光量・位置関係が一瞬で伝わり、読者はその空間へ入り込みます。
重要なのは、想起させる五感を選ぶ判断です。

ビジュアライズが機能すると、読者は説明を読んでいるという意識を失います。
編集者が求めているのは、その没入感なのです。

情報は足さずに、選ぶ。これが臨場感の正体

風景や状況を連ねるだけで臨場感のある場面は成立しません。
その情景にいる人物のフィルターを介した「プラスα」の感じ方が不可欠です。

季節や場所の情報が曖昧であれば、読者は具体的なイメージを想起することができません。
また、「私」の視点(一人称)による感覚描写が弱いと、場面はただの説明で終わってしまいます。

読者が共感しやすい情報を取捨選択して文章群を構成することで、多種多様なシズル感あるビジュアル表現が実現します。
都会を連想させるキーワードの選択や、乾いた風、冷たい光といった要素を組み合わせることで、状況は明確に提示されます。

五感の情報は量ではなく選択が重要です。詰め込みすぎず、必要な情報だけを配置することで、場面は自然に立ち上がります。
読者に「見せる」ためには、書く情報を増やすのではなく、削り、選び抜くことが求められます。

今回紹介した本書の参考ページ

今回の記事は、以下の本文ページから抜粋してご紹介しました。
本書は、見開きでとても分かりやすい、構成になっています。

日本文芸社のクリエイターシリーズ最新刊『プロの編集者&小説家が教えるクリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』

読み手と書き手のプロたちがタッグを組んで、賞を勝ち獲るための小説の書き方本。

ライトノベル編集のプロが普段は絶対に明かさない、コンテストで常にチェックしている絶対必要なポイントを徹底解説。編集者のポイントを再現する文章の書き手は、クリエイターシリーズすべての著者を務めるプロの小説家、秀島迅氏。

本書は、物語・シナリオを書くための構想の仕方を教えるだけでなく、編集者が「あっ」と驚く文章構成や、プロなら絶対に押さえておきたい書き方の基本メソッドに加え、つい書き手がやってしまうNG例も実際に例文を読みながら学べます。

小説の面白さには自信があるけど、なぜだか賞は獲れない……という人に向けて、一段階上の技術を習得できる超実用的な内容。ぜひ、Amazonでチェックしてみてください!

https://www.amazon.co.jp/dp/4537223758

【著者紹介】
秀島 迅(ひでしま じん)
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞 (KADOKAWA)から選出され、さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家 として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝 などの執筆も行っている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカ の篇』二作同時発売(講談社)、『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑 上級編』(日本文芸社) などがある。また、コピーライターや映像作家としての顔を持ち、企業CM制作のシナ リオライティングなど、現在も月10本以上手掛けている。

Nola編集部(のらへんしゅうぶ)
創作プラットフォーム「Nola」を運営する編集チーム。日々多数の投稿原稿を審査・講評し、企画立案やコンテスト運営を通じて新人作家の育成に携わる。構成・文体・読者設計の観点から作品を分析し、読者に届く物語づくりを実践的に支援している。本書では、現場で培った編集視点をもとに、小説執筆における具体的な改善ポイントを監修。

日本文芸社のクリエイターシリーズ

小説家、ラノベ作家、漫画家、シナリオライター、脚本家、SNS投稿…etc
読むだけで、頭ひとつ抜ける!作品のクオリティが格段にあがる!

普段プロの小説家が秘密にしている実践的な経験をもとにした創作セオリーがつまった、すべてのクリエイターに役立つ書籍シリーズ!!
「語彙」テクニックだけでなく、中世ヨーロッパの文化、シナリオに必要な「人物・性格」「能力」「場面」「職業」設定、などなど即戦力となるノウハウをあますところなく解説!

https://sp.nihonbungeisha.co.jp/series/creators

【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
秀島 迅 (著), Nola編集部 (監修)


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数多くの出版社とのコンテストを開催し、多くの作品を世に生み出してきました。

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そんな編集者のポイントを再現する文章の書き手は、
クリエイターシリーズすべての著者を務めるプロの小説家、秀島迅氏。
編集者が「あっ」と驚く文章構成や、プロなら絶対に押さえておきたい書き方の基本メソッドに加え、
つい書き手がやってしまうNG例も実際に例文を読みながら学べます。

そのほか、本書は物語・シナリオを書くための構想の仕方を教えるだけでなく、
「感情をうまく伝える余白・改行の使い方」
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小説の面白さには自信があるけど、なぜだか賞は獲れない……という人に向けて、
プロの編集者と小説家による一段階上の技術を習得できる超実用的な小説の書き方本です。

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