感情は言葉で書かない。編集者が見ている“キャラが生きる瞬間”の正体――賞を勝ち獲る小説の書き方vol.6

出典:新刊『プロの編集者&小説家が教えるクリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』より

はじめに(リード文)

小説家、ラノベ作家、シナリオライターなどになるべく、日々創作活動に打ち込むクリエイターたち。その夢の登竜門として、さまざまな出版社や小説投稿サイトで開催されるコンテストでの受賞を目指している方も多いのではないでしょうか。しかし、最終審査まで残り、その上受賞する作品は一握り。そうなると「面白い作品なのに、選考が通らない!」という悩みもおのずと出てくると思います。その悩みの突破口となるのは “編集目線”。

日本文芸社人気シリーズの最新刊『プロの編集者&小説家が教えるクリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』では、その“編集目線”を小説の書き方に取り入れた一冊。今まで何千何万もの作品に目を通してきた小説投稿サイト『Nola』の編集者たちとプロの小説家である秀島迅氏がタッグを組み、読み手と書き手の二つの視点から、普段は明かさない小説を書くために絶対必要なスキルやポイントを徹底解説。

本記事は、書籍の本文の一部をWeb記事用にアレンジして紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください!

感情は言葉で説明せず、行動で伝える

編集者が人物描写で見ているのは、性格や感情の説明ではありません。

その人物が「今、どう変わったのか」が描かれているかです。
感情は内面にあり、読者からは見えません。見えるのは行動と反応だけです。

よくある失敗は、「怒った」「悲しかった」と感情を言葉で説明してしまうことです。
それでは読者は状況を理解しても、人物を感じ取ることができません。
一方で、指の動き、視線の揺れ、声の間といった小さな変化を描けば、感情は“実在感”を持ちはじめます。

たとえば怒りなら、「拳を握る」「呼吸が乱れる」といった変化の起点を捉えた描写は、人物の奥行きを一気に深めるのです。
人物描写は情報量の勝負ではありません。変化の一瞬を正確に切り取れるかが重要です。

編集者は、感情を地の文で説明しているか、動作やセリフで変化を見せているかに注目しています。

セリフと行動のズレが人間らしさを生む

編集者が会話文で注目するのは、セリフのうまさだけでなく、人物の奥行きです。

現実の人間は、考えていることと口にする言葉がつねに一致しているわけではありません。
そのズレが感じられるかどうかで、キャラクターの生々しさが決まります。

感情を常にセリフで説明しすぎると、読み取る余白が生まれません。
反対に、「平気だよ」といいながら目をそらす、「行けよ」と促しつつ拳が震える──行動と表情に矛盾を残すことで、セリフの裏にある不安や怖れといった感情がにじみます。

こういった感情とセリフのズレが、性質や状況に根ざしていれば、キャラクターは“人間らしく”立体的になるでしょう。
会話は情報伝達ではなく、心理表現の場でもあります。この不一致を、場面を選んで効果的に使うことで、読者は人物のリアリティに心打たれるのです。

言葉と行動にズレが生まれた瞬間、人物は平面から立ち上がります。
あえてのズレが、人間らしさをもたらすのです。

語らない沈黙が、感情を最大化する

多くの原稿では、感情を説明するために人物が語りすぎていますが、リアルな人間は強い感情ほど飲み込むものです。

沈黙には緊張や余白の演出として言葉以上の情報が含まれ、強い表現だからこそ必然性が問われます。

たとえば、本来語るべき葛藤や判断を曖昧にして黙らせると、人物は深まるどころか薄れてしまいます。
一方で、別れを告げる直前、重い謝罪の場面など、言葉にできない状況や感情の飽和点で沈黙を置くと、読者は行間を読み取ります。

沈黙が機能する使いどころを選ぶことで、より深い温度を読者に残せるのです。
会話に展開を委ねすぎると水のように流れて読者の心に引っかかりません。
リアルな人間像を意識した一言一句の構築が行間を読ませます。

時にセリフ以上に重要な意味を持つ“間合い”は万能の演出技法です。
語らないことによって、読者の想像力を引き出し、より強い感情を生み出すことができます。

今回紹介した本書の参考ページ

今回の記事は、以下の本文ページから抜粋してご紹介しました。
本書は、見開きでとても分かりやすい、構成になっています。

日本文芸社のクリエイターシリーズ最新刊『プロの編集者&小説家が教えるクリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』

読み手と書き手のプロたちがタッグを組んで、賞を勝ち獲るための小説の書き方本。

ライトノベル編集のプロが普段は絶対に明かさない、コンテストで常にチェックしている絶対必要なポイントを徹底解説。編集者のポイントを再現する文章の書き手は、クリエイターシリーズすべての著者を務めるプロの小説家、秀島迅氏。

本書は、物語・シナリオを書くための構想の仕方を教えるだけでなく、編集者が「あっ」と驚く文章構成や、プロなら絶対に押さえておきたい書き方の基本メソッドに加え、つい書き手がやってしまうNG例も実際に例文を読みながら学べます。

小説の面白さには自信があるけど、なぜだか賞は獲れない……という人に向けて、一段階上の技術を習得できる超実用的な内容。ぜひ、Amazonでチェックしてみてください!

https://www.amazon.co.jp/dp/4537223758

【著者紹介】
秀島 迅(ひでしま じん)
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞 (KADOKAWA)から選出され、さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家 として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝 などの執筆も行っている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカ の篇』二作同時発売(講談社)、『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑 上級編』(日本文芸社) などがある。また、コピーライターや映像作家としての顔を持ち、企業CM制作のシナ リオライティングなど、現在も月10本以上手掛けている。

Nola編集部(のらへんしゅうぶ)
創作プラットフォーム「Nola」を運営する編集チーム。日々多数の投稿原稿を審査・講評し、企画立案やコンテスト運営を通じて新人作家の育成に携わる。構成・文体・読者設計の観点から作品を分析し、読者に届く物語づくりを実践的に支援している。本書では、現場で培った編集視点をもとに、小説執筆における具体的な改善ポイントを監修。

日本文芸社のクリエイターシリーズ

小説家、ラノベ作家、漫画家、シナリオライター、脚本家、SNS投稿…etc
読むだけで、頭ひとつ抜ける!作品のクオリティが格段にあがる!

普段プロの小説家が秘密にしている実践的な経験をもとにした創作セオリーがつまった、すべてのクリエイターに役立つ書籍シリーズ!!
「語彙」テクニックだけでなく、中世ヨーロッパの文化、シナリオに必要な「人物・性格」「能力」「場面」「職業」設定、などなど即戦力となるノウハウをあますところなく解説!

https://sp.nihonbungeisha.co.jp/series/creators

【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
秀島 迅 (著), Nola編集部 (監修)


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☆☆大人気クリエイターシリーズ最新刊☆☆

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読み手と書き手のプロたちがタッグを組んで
賞を勝ち獲るための小説の書き方を教えます!

今まで何千何万もの作品に目を通してきた小説投稿サイト『Nola』の編集者たち。
数多くの出版社とのコンテストを開催し、多くの作品を世に生み出してきました。

本書では、そんなライトノベル編集のプロが普段は絶対に明かさない、
コンテストで常にチェックしている絶対必要なポイントを徹底解説します。
どうしても文章を書く際は、自分の書きたいことが飽和して読みづらくなりがちですが、
読み手側の視点を取り入れることで、作品の完成度を高めることができます。

そんな編集者のポイントを再現する文章の書き手は、
クリエイターシリーズすべての著者を務めるプロの小説家、秀島迅氏。
編集者が「あっ」と驚く文章構成や、プロなら絶対に押さえておきたい書き方の基本メソッドに加え、
つい書き手がやってしまうNG例も実際に例文を読みながら学べます。

そのほか、本書は物語・シナリオを書くための構想の仕方を教えるだけでなく、
「感情をうまく伝える余白・改行の使い方」
「音で残るタイトルは、読者の頭に染みつく」……etc.
プロの小説家だけが知っている、誰でも即マネできる技法を大公開!

小説の面白さには自信があるけど、なぜだか賞は獲れない……という人に向けて、
プロの編集者と小説家による一段階上の技術を習得できる超実用的な小説の書き方本です。

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