「30年越しの百人一首」。岡田崇花先生の受賞作を東京都美術館で見てきました|『筆ペンで百人一首』

2026年8月14日から21日まで、東京都美術館で開催された「第43回産経国際書展」。『4週間でくずし字・つづけ字 筆ペンで百人一首』(日本文芸社)の著者・岡田崇花先生が「理事優秀賞」を受賞した作品も展示されました。

会場には、岡田先生をはじめ、数多くの書家の作品が並び、受賞者によるトークイベントも開催。『筆ペンで百人一首』の当時の担当編集者・吉村氏が会場を訪れ、実際に受賞作を鑑賞しました。美しい文字の連なりに目を奪われた受賞作。その背景には、岡田先生の長年にわたる書への思いと、作品を完成させるまでのさまざまな工夫がありました。

文:吉村かつら

会場は、受賞された多くの書家、そのお弟子さんや生徒さんなど、日ごろから書をたしなむ人で賑わっていた。岡田先生の書は入口を入ったすぐのところに。

岡田先生の文字はどれも美しいが、その美しさが最も際立つのが行書の筆文字。今回はまさに行書の筆文字での受賞だ。

たなびく雲のようにさまざまな色の紙が貼られた和紙に、百人一首が11首書かれている。
「朝ぼらけ有明の月と見るまでに~」の第31首から、「恋すてふ~」の第41首まで。

連綿が美しい行書は、草書?と思われるほどで、素人にはなかなか判読が難しい。かろうじて読み取れたのは4首だけ。岡田先生によると、「ひらがなだけでなく万葉仮名も混じっているから読みにくいのかもしれませんね」とのことだった。

30年前に出会った和紙 ーー「いつか書ける日」まで大切に温めた渾身作

トークイベントでは受賞者8名がそれぞれ受賞作について語った。
岡田先生が話したのは、人からよく聞かれる紙について。

作品が書かれた紙は、5枚ひと組になっている。30年前に出会い、書き直しのことも考えて何セットか購入したかったが、もう作れる職人がいないとのことで1セットしか買えなかったものを、いつか書けるようになるまで大事にとってあったという。

20年以上前にペン字の著者として岡田先生の文字に出会ったとき、じつに現代的で美しいと感じた。その先生でさえ30年かかって「やっと書けるようになった」渾身の作なのだろう。

書いてみたら思いのほか墨をはじくので、墨を濃くすり直して続きを書いたとの苦労話も。本当はもう少し薄墨で、色の変化も綺麗に出したかったが叶わなかったそうだ。  

受賞者のお話をうかがって、文字自体のフォルムだけでなく、墨の濃淡、にじみ、飛沫などが作品を構成する重要な要素だということもわかって、非常に興味深かった。


東京都美術館での展示はすでに幕を閉じたが、岡田先生が30年の歳月をかけてたどり着いた文字の美しさは、著書『筆ペンで百人一首』でも存分に味わうことができる。今回の受賞作に見られた連綿の美しさや、筆致が生み出す表情の豊かさは、まさに先生が長年磨き上げてきた書の真骨頂。
なお受賞の詳細と岡田先生ご本人のコメントは、こちらの記事でも紹介している。会場に足を運べなかった方も、ぜひ本書を手に取って、その文字にじっくり触れてみてほしい。

岡田先生の行書の筆文字が練習できる『4週間でくずし字・つづけ字 筆ペンで百人一首』は、全国の書店・ネット書店でお買い求めいただけます。

【岡田崇花先生の主な著書】
『4週間でくずし字・つづけ字 筆ペンで百人一首』岡田崇花 著・松坂弘 監修


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筆ペンで百人一首をなぞりながら、4週間で美しい行書や連綿(つづけ字)を習得できる一冊。現代語訳や作者解説も収録し、書と歌の魅力を楽しめます。

『4週間で誰でも達筆になる!大判 筆ペンきほんの練習帳』岡田崇花 著


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