【発達段階に応じた遊びの視点】3~6歳頃の子どもに必要な「試行錯誤する経験」とは【発達が気になる子の認知遊び】

遊びの支援ポイントとケーススタディ②

乳児期:感覚体験とやりとりを基盤にした支援
幼児期:ルール・ステップの可視化と感情調整支援
学童期:計画・協働・成功体験の積み重ね

発達段階に応じた遊びの視点②

●幼児期(3~6歳頃)

【どんな時期?】

 幼児期は象徴遊びやごっこ遊び、ルール遊びを通して社会性や実行機能を育む時期ですが、同時にひとりでじっくり楽しむ「認知遊び」も非常に重要です。積み木やパズル、ブロックの構成遊びなど、自分のペースで考え、試行錯誤する経験は、計画力や集中力、問題解決能力を育てます。こうした遊びでは正解よりも「どう組み立てるか」「どのように順序を考えるか」といった過程そのものが学びとなります。

【遊びのポイント】

 自己選択によって取り組むことで、自分の興味や好奇心を深め、自己理解や自尊心の形成にもつながります。おとなは口出しを控え、必要に応じて軽く声をかけたり材料を整えたりするなど、子どもの主体性を尊重した支援を心がけることがポイントです。ひとり遊びの時間を確保することが、認知発達を促す基盤になります。また、象徴遊びやごっこ遊び、ルール遊びを通じて社会性や実行機能を育む重要な時期でもあります。順番や計画を理解することや、感情の切り替えが難しい子どもは、遊びに集中できず仲間関係でつまずく場合があります。こうした子どもには、視覚的にわかるルールカードやステップを小さく区切った活動が有効です。

 また、競争が苦手な子には協力型の遊びを取り入れると安心して挑戦でき、達成感や仲間と喜びをわかち合うことができます。子どもの行動を評価する際、勝ち負けではなく「過程や努力」をおとなが言葉にして認めることで、自己肯定感の形成に繋がります。さらに、感情の高ぶりやかんしゃくを起こした場合は、落ち着くための手段を一緒に探すなど、自己調整をサポートする関わりが求められます。

イラスト:おおたきょうこ

ひとりでじっくり楽しむ認知遊びが大事な幼児期

ケーススタディ

ケーススタディ❶ Cくん(4歳)

 Cくんはごっこ遊びで役割を覚えられず、途中でやめてしまうことが多く、友だちとの関わりが限定的でした。そこで、保育者はごっこ遊びの役割を絵カードで視覚化し、順番を確認しながら遊ぶように支援しました。

 数回の体験で、Cくんはカードを見ながら最後まで役割を遂行できるようになり、友だちとの会話も増えていきました。小さな成功体験が自信につながり、遊びの幅が広がりました。

ケーススタディ❷ Dくん(4歳)

 Dくんはごっこ遊びでは友だちとのやりとりに偏りが出てしまい、集中力が続かないことが多くありました。そこで、積み木やパズルをひとりでじっくり楽しむ時間を設けると、試行錯誤しながら集中して組み立てる姿が増え、計画力や注意持続力が向上しました。

 また、完成した作品を友だちに見せることで、友だちとの交流にも参加できるようになりました。Dくんはごっこ遊びでは友だちとのやりとりに偏りが出てしまい、集中力が続かないことが多くありました。そこで、積み木やパズルをひとりでじっくり楽しむ時間を設けると、試行錯誤しながら集中して組み立てる姿が増え、計画力や注意持続力が向上しました。また、完成した作品を友だちに見せることで、友だちとの交流にも参加できるようになりました。

ケーススタディ❸ Eくん(5歳)

 Eくんは指示が多い集団遊びで混乱しやすく、遊びに消極的でした。そこで、自分で選んだ迷路やパズルに取り組む時間を確保したところ、完成までの過程を楽しみながら集中力を維持できるようになりました。徐々に自己調整力が育ち、集団での活動にも参加できる機会が増えました。

ケーススタディ❹ Fちゃん(5歳)

 Fちゃんは競争遊びで負けるとかんしゃくを起こすことが多く、集団活動に参加できないことがありました。そこで、協力型の宝探し遊びに切り替え、全員で力を合わせてゴールを目指す形式にしました。

 だんだんとF ちゃんは最後まで集中して参加し、仲間と喜びを共有する姿が見られるようになりました。競争にこだわらない環境が安心感を生み、感情の調整能力も育ちました。

【出典】『発達が気になる子の認知遊び』著:藤原里美

【著者情報】
藤原里美(ふじわら・さとみ)
一般社団法人チャイルドフッド・ラボ 代表理事/臨床発達心理士/保育士
公立保育園・東京都立梅ヶ丘病院・東京都立小児総合医療センター・明星大学非常勤講師を経て現職。
発達障害のある子どもの療育、家族支援を行うとともに、園の巡回や発達支援の研修など、支援者育成にも力を注ぐ。「子どもを変えずに、子どもの周りの世界を変える」支援方法により、現場や家庭で実現可能な実践方法を発信している。

<子どもの得意と不得意のアンバランスを理解する!脳が理解しやすい「得意なルート」の探し方【発達が気になる子の認知遊び】>を読むにはこちらから

【書誌情報】
『発達が気になる子の認知遊び』
著:藤原里美


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楽しい遊びを通して、子ども自身が困っていることの解決をめざす大人気シリーズ。

認知発達とは、見る・聞く・記憶する・覚える・考える・予測するなど、情報をキャッチし、物事を理解して考える力が育っていく過程を指します。

わたしたちは日常のなかで多くの情報を受け取り、その情報をあたまのなかで「整理して」、「次にどうするかを判断」しています。
認知発達はこの一連の過程を支える基盤であり、学習だけでなく、生活全般や人との関わり方に深く関係しています。

・遊びが続きにくい
・集団遊びに入りづらい
・指示が入りにくい
・切り替えが難しい
・ルールのある遊びが苦手 など発達が気になる子にとって、
認知発達を育む遊びは特に重要です。

本書で紹介する150個の「認知発達遊び」は、日常のなかで遊び、関わりながら、
その子のペースで認知の土台を育てていくためものです。
認知発達をつぎの7つの領域に分けて解説し、それぞれの領域を育てる具体的な遊びの提案をしています。
1知覚
2注意・処理
3記憶
4言語思考
5実行機能
6社会的認知
7メタ認知

診断の有無にかかわらず支援したいとき、「教える」より「育てる」関わりを大切にしたい場面などで、
それぞれの発達段階にあわせながら、無理なく取り入れられる遊びを紹介します。

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