鷹の佐々木麟太郎。ドラ1指名の損得【二宮清純 スポーツの嵐】

来年7月にはMLBドラフト
今ドラフトの最大のサプライズは、米スタンフォード大のスラッガー佐々木麟太郎(花巻東)を福岡ソフトバンクと横浜DeNAの2球団が1位で指名し、ホークスが当たりクジを引き当てたことだ。
まずは両球団の勇気に拍手を贈りたい。前者は2005年、後者は12年に参入した、いわば新興球団。既存球団にはないベンチャースピリットを感じさせるサプライズ指名だった。
「オレが同じ立場だったら絶対に(指名)しない」
日曜朝のTBS系人気番組「サンデーモーニング」で、中日の監督やGMを務めた落合博満は、そう語った。
入るか入らないかわからない選手に、貴重なドラフト1位の枠を削ってまで指名するのはリスクが高すぎる――。そんな見解だった。
おそらく、ほとんどの球団フロントが、落合と同様の思いを抱いていたことだろう。筋論としては、その通りである。
高校通算140本塁打の佐々木の交渉権を獲得したホークスだが、全米大学体育協会(NCAA)の規約により、所属大学の全日程が終了する来年6月中旬までは本人と交渉することができない。
来年7月には、MLBドラフトで佐々木が指名される可能性が高い。さて、本人はどちらを選ぶか。
「将来のメジャーリーガーを目指して米国の大学に進学したのだから、初志貫徹となるのではないか」(MLB球団日本人スカウト)
スタンフォード大進学に際しては、父親で花巻東監督・佐々木洋の「(麟太郎は)OPS(出塁率+長打率)を大事にしてくれる米国の野球の方が合っている」というアドバイスが決め手のひとつになったと言われている。
MLBで活躍する2人の高校の先輩(大谷翔平と菊池雄星)も、佐々木には心強い存在だ。MLB球団からの指名の順位にもよるが、現時点では米国でプレーする可能性の方が高いように思われる。
そうしたリスクを取ってでも、日本人には数少ない長距離砲を、自らのチームで育てたいというホークスの野心は称えられていい。
運よく獲得できた場合、それはNPB全体を潤すことになるだろう。
既にNPB史上最年少で三冠王に輝いた村上宗隆(東京ヤクルト)と、本塁打王3度の岡本和真(巨人)がMLB挑戦を明らかにしている。
来季は今季にもまして“投高打低”に拍車がかかると見られる。プロ野球の小粒化はいささか寂しい。
初出=週刊漫画ゴラク11月14日発売号
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