呼吸に食事に大活躍の「エラ」のはたらき【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】


水中生活に不可欠なエラの役割
「エラ」で呼吸ができるのは、魚の大きな特徴のひとつ。エラには水中に溶けこむ酸素を取り入れるしくみがあります。
魚のエラぶたを開くと、中には鮮やかな赤色のくし状の集まりが見えます。このくしの歯のような一本一本を「鰓弁(さいべん)」といい、表面には微細なひだが無数に並んでいます。
魚が口から取り込んだ水は、このひだの間を通り、水に溶け込む酸素が鰓弁の中にある血液中に取り込まれます。微細なひだは水と接する表面積を最大化し、効率的に酸素を吸収できるようになっているのです。
実は、魚のエラには別の役割もあります。プランクトンを食べる魚は、食事にも役立てているのです。エラの前方にもまた「鰓耙(さいは)」というくし状の構造があり、魚の口から入った水は、水中のプランクトンとともに鰓耙を通り抜けていきます。
その際、水はそのまま出ていきますが、プランクトンはくし状の鰓耙にこし取られ、口の中に残るようになっているのです。ジンベエザメなどプランクトン食の魚は目の細かい鰓耙を持ち、水中の微小なエサを効率よくこし取ります。
対照的に、タチウオのような肉食魚は小魚などの大きなエサを主食とするため、細かいプランクトンをこし取る必要がなく、鰓耙の目は粗くなっています。
エラで呼吸するしくみ

魚が口から取り込んだ水は、エラから出る際、真っ赤なくし状の部分を通り抜ける。その一本一本(鰓弁)の表面にびっしりと並ぶ微細なひだが水に接する面積を増やし、なるべく多くの酸素を吸収できるしくみ。
エラで食事するしくみ

口から飲み込んだ水はエラから排出し、プランクトンのみくし状の鰓耙でこし取ることができる。その
ため、サバやイワシなどプランクトン食の魚とタチウオのような肉食魚では、鰓耙の目の細かさが異なる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん
食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。
魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。
「最古の魚は5億年前! 魚類の誕生と進化」「魚は何を食べる?」
「カニみそは脳みそではなく、肝臓や膵臓にあたる部位」
「シーラカンスが絶滅しなかったのは、味が激マズだったから!?」
「クジラ界にも「ヒット曲」があり、世界中の海で流行る」などなど
そんな魚のあらゆる疑問や意外な生態、誰かに教えたくなる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。