エラじゃなくて肺呼吸もできる? 陸に上がれるレアな魚【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】


ハイブリッドな水陸両用の魚
進化の過程で水中と陸上、両方の環境で生きる能力を身につけた魚たちも存在します。普通の魚は水中でしか生きられませんが、一部の魚は特別な器官を持ち、限られた時間なら陸上で活動できるのです。ただし、陸で過ごすためには空気から酸素を取り込むしくみが必要です。
トビハゼは水から上がると皮膚から酸素を吸収し、エラに溜めた水からエラ呼吸も行いながら陸上で過ごします。潮が引くと現れる広い砂地や泥地では、トビハゼの跳ねる姿が見られるでしょう。
キノボリウオは「ラビリンス器官」という特殊な呼吸器官を持ち、筋肉質な胸ビレで陸上を移動することができます。
アフリカに棲むハイギョは、浮き袋が肺のように進化しており空気呼吸ができます。そのため、水がなくなる乾季には土の中にもぐって「乾眠」し、再び雨が降る季節が来るのを待つことができるのです。東南アジアなどに生息するヒレナマズも空気呼吸ができ、体をくねらせて湿った地面を進んで池から池へと移動できます。
ただし、どの魚も体が乾燥しすぎると生きられなくなるため、長時間水から離れることはできません。陸に上がる能力は、天敵から逃げたり、新しい水場を探したり、厳しい環境を生き抜くための知恵なのです。
陸上で呼吸できる魚たち
陸に上がることで、敵から逃げられる、別の水場へ移動できる、乾季を乗り切れるといった利点がある。
●トビハゼ
水の外では皮膚呼吸をする。エラに溜めた水からエラ呼吸もする。丈夫な胸ビレで陸上を移動できる。

●キノボリウオ
エラにある「ラビリンス器官」という特殊な器官で空気呼吸をする。胸ビレを使って地面を這いながら移動できる。

●ハイギョ
肺のように進化した浮き袋で空気呼吸ができる。水がなくなる乾季には土の中にもぐり、雨季を待つ「乾眠」を行う。

●ヒレナマズ
空気呼吸ができ、体をくねらせて湿った地面を進み、池から池へと移動できる。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん
食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。
魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。
「最古の魚は5億年前! 魚類の誕生と進化」「魚は何を食べる?」
「カニみそは脳みそではなく、肝臓や膵臓にあたる部位」
「シーラカンスが絶滅しなかったのは、味が激マズだったから!?」
「クジラ界にも「ヒット曲」があり、世界中の海で流行る」などなど
そんな魚のあらゆる疑問や意外な生態、誰かに教えたくなる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。