広島カープの由来は鯉城と神功皇后伝説!? 広島主要スポーツチームの命名トリビア【眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話】

広島の「球団名」のルーツ

神功皇后が名付けた「鯉の浦」

 〝赤ヘル〟でお馴染みの「広島東洋カープ」の球団名の由来は、広島湾岸の古代説話に語られる「神功皇后伝説」にまでさかのぼります

 広島市西区己斐地区の鎮守「旭山神社」の拝殿に架かる絵馬には、神功皇后の来航の際、土地の長がコイを献上し、皇后はこれを賞味し「この海を鯉(己斐)の浦となされた」と、その対面場面が描かれています。

 その後、鯉の浦(広島湾)に所在した在間(五箇庄〈白島・在間・鍜治塚・平塚・広瀬〉の1つ)の地に、毛利輝元は広島城(在間城)を築城して入城。鯉の浦の故事から、城は「鯉城」の別称でも呼ばれました。毛利元就は旭山神社にて「厳島合戦」の戦勝祈願をし、やがて中国の覇者となり100万石を超える大大名の地位を獲得しました。

 広島は鯉城とともにその歴史を歩んできたことから、戦後、市民球団として誕生した職業球団は、鯉の英訳カープ(単複同形)を用いて「広島カープ」と名付けられ、勢いよく泳ぎ出しました。

 なお、球場に鳴り響く「宮島さんの神主がおみくじ引いて申すには、今日もカープは勝ち勝ち勝ち勝ち」という応援歌は、もとは甲子園常連校であった広島商業高校の応援歌でしたが、現在は広島カープの応援歌として、宮島の杓子を打ち鳴らす音とともに意気揚々と歌い継がれています。

広島を拠点とする「球団」の名前の由来

サンフレッチェ広島

 広島では野球とともにサッカーが盛んで、かつて東洋工業(現・マツダ)は全国制覇を重ねました。この風土のもと、Jリーグの発足時に誕生したのが「サンフレッチェ広島」です。サンは日本語で「三」、フレッチェはイタリア語で「矢」を意味し、毛利元就が三兄弟に与えたとされる「三矢の訓」にちなみます。球団は毎年、毛利家ゆかりの吉田郡山城の麓にある「清神社」に戦勝祈願をして出陣しています。球団では、市民・行政・財政・財界、技術・戦術・体力および、心・技・体を三本の矢の理念としています。

広島ドラゴンフライズ

 プロバスケットチームとして誕生した「広島ドランゴンフライズ」は、前進はするが決して後ろに下がることがないため「勝ち虫」とも称される「トンボ」の英訳をチーム名としました。嚴島神社の神領・弥山に生息する固有種「ミヤジマトンボ」が宮島を乱舞する姿に、コートを駆け回る選手の動きを重ね合わせたのでしょう。2023-24シーズンには悲願のB1初優勝を果たしました。それを支えているのが、地元広島でさまざまな競技用ボールを製造してきた二大メーカー、モルテンとミカサです。

広島サンダーズ

 日本たばこ産業(JT)が運営する男子バレーボールチーム「広島サンダーズ」は、昭和42年(1967)開催の第1回日本リーグから一度も降格することなく、トップリーグに連続出場し続けている唯一のチームです。昭和6年(1931)の創部から数えて84年目の2014-15V・プレミアリーグでは、初のリーグ制覇を達成しました。チーム名は英語で稲妻を意味する「サンダー」に由来し、チームロゴは「天空を引き裂く、強大な自然のエネルギー、人を驚かす雷鳴、そして美しい稲妻」をイメージしています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』監修:佐々木卓也

【監修者情報】
佐々木卓也(ささき・たくや)

野外歴史地理学研究家。第35回広島文化賞受賞(平成26年度)。昭和29(1954) 年8月1日、広島市佐伯区生まれ。間学苑:時空人論研究所主宰、ひろしま歴史街道トリップ実行委員会座長、広島地名研究会事務局代表、石垣を讃える会代表世話人、棚田学会会員(元監事)、広島市内公民館活動団体指導員、中国新聞文化センター専属講師。広島県立広島観音高等学校卒業、奈良大学文学部地理学科卒業、広島大学大学院文学研究科研究生終了、京都大学教養部人文地理学教室研修員修了。国立呉工業高等専門学校・国立広島商船高等専門学校・国立大島商船高等専門学校・広島修道大学短期大学部講師を歴任。広島県史編纂室第三部会委員・広島市教育委員会調査委員・奈良広島両県町村史編纂委員を歴任。主著『芸備両国の条里遺構』(溪水社)、共著『広島県地名大辞典』(角川書店)、『日本地名基礎辞典』(日本文芸社)、『日本石造文化事典』(朝倉書店)ほか。専門は歴史地理学・地域民俗学・文化人類学・日本地名学ほか。趣味は歴史街道散策・石垣景観探訪・旅行企画策定など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』
監修:佐々木卓也


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