老朽化と維持コスト増で2024年に運行終了!広島の住宅地を支えた世界唯一「スカイレール」の歩み【眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話】

惜しまれつつ運行終了となった世界唯一の「スカイレール」

広島を走った世界唯一の交通システム

 かつて広島市安芸区には、世界唯一の交通システム「スカイレール(広島短距離交通瀬野線)」がありました。定員25名の小型ゴンドラが平均時速約15kmで、JR瀬野駅前の「みどり口駅」と、住宅団地スカイレールタウンみどり坂の「みどり中央駅」間の約1.3kmを約5分で結ぶ路線で、三菱重工業、神戸製鋼所などが共同開発した「ロープ駆動式懸垂型交通システム」という、ロープウェイとモノレールの特徴を組み合わせたハイブリッドな仕組みが特徴でした。

 スカイレールは、平成10年(1998)にみどり坂団地の開発に合わせて開業。翌年には、新技術の採用が評価され、鉄道友の会の「ローレル賞」を受賞しました。

 もう1つ、スカイレールがユニークだったのは「小学生専用車両」の存在です。開業当初、みどり団地内には小学校がなかったため、団地内から離れた場所にある瀬野小学校へ通う児童の足として専用便が設定されていました。ただし、平成23年(2011)に、団地内に広島市立みどり坂小学校が開校したことで専用便は廃止されました。

 住民の貴重な足として26年間親しまれてきたスカイレールでしたが、令和6年(2024)、システムの老朽化や維持コストの増大などを理由に廃止となり、現在は、みどり坂タウンバスが団地の人々の足となっています。

老朽化で廃止となったスカイレール

 最短80秒間隔での運行が可能で、かつてラッシュ時には「小学生専用車両」が運行された。また、当時としては珍しく、切符に二次元コードを採用したり、Suica以前にICカード乗車券を導入したりするなど、先進的な試みが行われていた。全7台あった車両のうち、一部は広島市安佐南区の「ヌマジ交通ミュージアム(広島交通科学館)」などで保存・展示され、見学が可能になっている。

 JR山陽本線・瀬野駅と連絡通路で直結する「みどり口駅」、路線の中心部に位置する中間駅の「みどり中街駅」、標高約160mにある丘の上にある終着駅「みどり中央駅」という3つの駅があった。

【スカイレール唯一の中間駅「みどり中街駅」】
 JR瀬野駅に隣接した「みどり口駅」から終点「みどり中央駅」までの距離は約1.3km で、最急勾配は約27%、高低差は約160mもあった。建設費用がモノレールの3分の1以下で済み、無人運転による低コストというメリットがあったが、唯一無二のシステムゆえに老朽化した設備の維持・更新が困難になり、廃止が決定された。


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』監修:佐々木卓也

【監修者情報】
佐々木卓也(ささき・たくや)

野外歴史地理学研究家。第35回広島文化賞受賞(平成26年度)。昭和29(1954) 年8月1日、広島市佐伯区生まれ。間学苑:時空人論研究所主宰、ひろしま歴史街道トリップ実行委員会座長、広島地名研究会事務局代表、石垣を讃える会代表世話人、棚田学会会員(元監事)、広島市内公民館活動団体指導員、中国新聞文化センター専属講師。広島県立広島観音高等学校卒業、奈良大学文学部地理学科卒業、広島大学大学院文学研究科研究生終了、京都大学教養部人文地理学教室研修員修了。国立呉工業高等専門学校・国立広島商船高等専門学校・国立大島商船高等専門学校・広島修道大学短期大学部講師を歴任。広島県史編纂室第三部会委員・広島市教育委員会調査委員・奈良広島両県町村史編纂委員を歴任。主著『芸備両国の条里遺構』(溪水社)、共著『広島県地名大辞典』(角川書店)、『日本地名基礎辞典』(日本文芸社)、『日本石造文化事典』(朝倉書店)ほか。専門は歴史地理学・地域民俗学・文化人類学・日本地名学ほか。趣味は歴史街道散策・石垣景観探訪・旅行企画策定など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』
監修:佐々木卓也


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