バリエーションは100種類以上!広島銘菓「もみじ饅頭」の発祥と進化の歴史【眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話】

\おいしくてユニークな広島の食文化/

実は100種類以上ある 広島銘菓「もみじ饅頭」

多様な進化を遂げた定番土産

 宮島の発祥で、今や広島銘菓として有名な「もみじ饅頭」。一般的には、初代総理大臣の伊藤博文が宮島を訪れた際、お茶を出した茶店の娘の手を見て「紅葉のようなかわいい手だ。焼いて食べたらさぞおいしかろう」と言ったことにヒントを得て考案されたとする逸話が有名です。しかし、実際には、宮島の旅館「岩惣」の女将が、宮島らしいお土産を求めて和菓子職人・高津常助に依頼してつくらせたのが始まりとされ、明治43年(1910)には「紅葉形焼饅頭」として商標登録しています。その後、昭和初期には高松宮親王の助言により「つぶあん」も開発されるなど、改良を加えながら広島を代表する銘菓として定着していき、昭和後期には、漫才コンビB&Bの島田洋七氏のギャグ「もみじまんじゅう」で一躍全国区の知名度を獲得しました。

 現在、もみじ饅頭は、にしき堂、やまだ屋、藤い屋、岩村もみじ屋、高津堂など多くの有名店が独自の味を展開しており、季節限定品や企業コラボなども含めると、なんと100種類以上のバリエーションが存在します。こしあんやつぶあん、クリーム、チョコレート、チーズといった定番の味のほか、もちもちした食感の「生もみじ」や、油で揚げた「揚げもみじ」、高級感のある「広島レモン餡」といった進化形まで、各店舗のこだわりの味を楽しむことができます。

もみじ饅頭と紅葉谷

「もみじ饅頭」の名前の由来

 もみじ饅頭の名前の由来となった宮島の「紅葉谷公園」の歴史は古く、江戸時代に植樹が始まり、その後、明治・大正時代および戦後復興期に整備が進みました。戦後につくられた「紅葉谷川庭園砂防」は、砂防技術と庭園美を融合させた建造物として国の重要文化財に指定されています。なお、もみじ饅頭考案のきっかけとなった「岩惣」は、紅葉谷川沿いにある安政元年(1854)創業の老舗旅館で、現在も営業しています。

「紅葉谷納涼」

 江戸時代に紅葉の苗木が植えられたのが紅葉谷の始まりとされる。夏になると紅葉谷川の清流に床を渡して涼を取る場として、その風情が有名だった。

もみじ饅頭の進化と復活

 広島のもみじ饅頭は、にしき堂・やまだ屋・藤い屋が「3大メーカー(御三家)」に挙げられることが多いです。中でも昭和26年(1951)に広島市松原町で創業したにしき堂が約10年の歳月をかけて開発した「生もみじ」は、もちもちとした食感で人気です。

 一方、もみじ饅頭の元祖である「紅葉形焼饅頭」は考案者である高津常助の死後、一時歴史が途絶えましたが、平成21年(2009)に常助の孫にあたる3代目が当時の味を再現し、「高津堂」のもみじ饅頭を復活させました。


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』監修:佐々木卓也

【監修者情報】
佐々木卓也(ささき・たくや)

野外歴史地理学研究家。第35回広島文化賞受賞(平成26年度)。昭和29(1954) 年8月1日、広島市佐伯区生まれ。間学苑:時空人論研究所主宰、ひろしま歴史街道トリップ実行委員会座長、広島地名研究会事務局代表、石垣を讃える会代表世話人、棚田学会会員(元監事)、広島市内公民館活動団体指導員、中国新聞文化センター専属講師。広島県立広島観音高等学校卒業、奈良大学文学部地理学科卒業、広島大学大学院文学研究科研究生終了、京都大学教養部人文地理学教室研修員修了。国立呉工業高等専門学校・国立広島商船高等専門学校・国立大島商船高等専門学校・広島修道大学短期大学部講師を歴任。広島県史編纂室第三部会委員・広島市教育委員会調査委員・奈良広島両県町村史編纂委員を歴任。主著『芸備両国の条里遺構』(溪水社)、共著『広島県地名大辞典』(角川書店)、『日本地名基礎辞典』(日本文芸社)、『日本石造文化事典』(朝倉書店)ほか。専門は歴史地理学・地域民俗学・文化人類学・日本地名学ほか。趣味は歴史街道散策・石垣景観探訪・旅行企画策定など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 広島の話』
監修:佐々木卓也


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