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12.「海の民」の地中海交易と植民市建設【世界史】

Text:鈴木 旭

レバノン杉と航海能力で地中海を駆け巡る。

地中海東部に面するシリア・パレスチナ沿岸には、前3,000年頃からセム系のカナーン人が住み着き、エジプト王朝に従属して交易活動をしていた。その流れから発展して集団を形作ったのがフェニキア人だ、と推定されている。

エジプト王朝は、レバノン山脈の麓に産するレバノン杉や糸杉を貴重な木材資源、香油の資源としていた。また、ナイル川を上下できる程度の平底船しかなかったので、大量の木材を海路でも運搬できるフェニキア人の船と航海能力に期待していた。こうしてフェニキア人は活躍の場を与えられ、シリア・パレスチナ沿岸にシドン、テイルスなどの新しい都市国家を建設する。

ところが、前1,200年頃、大きな転機が訪れる。ドーリア人が南下してミケーネ文化を破壊し、ギリシア本土にイオニア人、アイオリス人が進出。小アジアやシリア・パレスチナ沿岸にはギリシア・エーゲ海諸島から「海の民」が侵入する。

その結果、これらの地域を支配していたヒッタイト帝国が滅び、エジプト新王国の勢力が後退。代わって、シリア・パレスチナに栄えた都市国家の人々は海の民と陸の民に分かれてそれぞれの運命を辿ることになる。

海岸に都市を建設し、専ら海上交易に徹したフェニキア人は海の民となり、アラム人はシリアの内陸部に都市を作り、内陸交易の発展に尽力した。アラム人と同じ運命を辿ったのがヘブライ人。前11世紀後半にヘブライ王国を建設。ダビデ王とソロモン王の時代に繁栄する。

中でも、フェニキア人は外洋航海の力を飛躍的に向上させ、カルタゴなどの植民市を次々に建設。「地中海全域に進出して行く。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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