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発達障害ともかかわりが深い脳機能「ワーキングメモリ」とはいったい何?【臨床心理学】

Text:湯汲英史

情報を一時的に保管&処理する

近年、ワーキングメモリという脳機能が注目を集めています。ワーキングメモリとは、作業を行うために必要な情報を一時的に脳で保管し、処理する機能のことです。短期記憶を発展させた認知心理学の概念で、日本語では作業記憶や作動記憶などと呼ばれています。

ワーキングメモリには「言語性ワーキングメモリ」と「視空間性ワーキングメモリ」の2種類があります。言語性ワーキングメモリは音声情報を処理する機能で、情報を「心の言葉」で操作しています(音声ループ)。この機能が優れている人は、聞き取った多くの情報をメモを取らずに記憶でき、頭のなかだけで分析することが可能です。

たとえば道順を覚えるとしたら「玄関を出たら右に進み~」といった具合に、ルートを言葉で記憶・操作しながら目的地を目指します。一方、視空間性ワーキングメモリは視覚情報を処理する機能で、情報を「心のイメージ」で操作しています(視空間スケッチ帳)。

この機能が優れている人は、言葉よりもイラストや記号で情報を記憶・分析することが得意です。道順を覚える場合は、地図や目印となる場所をイメージとして記憶・操作しながら目的地へと進んでいくことができます。

言語性メモリと視空間性メモリ【眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』
監修:湯汲英史

ADHDや学習障害、統合失調症やパニック障害などの言葉を耳にする機会はありますが、なんとなく心やメンタルの不調・病気と捉えてしまいがちな臨床心理学の分野。しかし紐解いていくと実はそれぞれの症状には特性や原因があり、子どもが抱えやすいのものから大人が抱えやすいものまで様々です。また、ストレスが原因で自分では気づかないうちに発症してしまうものも。本書ではそんな一見理解し難い「心の問題」の特性や症状を図解でわかりやすく解説します。最も大切なことはしっかりと特性を理解して自分と、そして他人と向き合うことです。「自分は他人がふつうにできることができない」「職場のあの人はどうも変に感じる」「子どもがじっとしていてくれない」こうした日常のもやっとした感情も、臨床心理学を知ることで理解が深まります。また、実際に現場で心の病気を抱えた人と向き合う公認心理士師の仕事についても紹介します。臨床心理学を通して「心の問題」について知ることで、自分や他人の特性がわかり、周囲と上手に付き合っていく方法を知ることができる一冊です。

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