飛行機はどうやって“北”を知るのか?地磁気とジャイロの仕組み【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

どうして方向がわかるのか

地磁気を利用した方法

ジャイロを垂直に立てると、姿勢がわかるのであれば、水平にしたら方向がわかるようになると考えるのは自然です。

ジャイロを垂直にしたVGに対して、水平にしたジャイロをDG(ディレクショナル・ジャイロ)と呼んでいます。例えば、左図のように飛行機が左右のどちらを向いても、DGは宇宙の一点を指しているため、機首とジャイロの軸を比較すれば方向がわかりそうです。

しかしそれほど単純ではありません。たとえ水平に保つことができたとしても、肝心の基準となる北の方位(どちらの方角が北か)は、ジャイロだけでは知ることができないのです。たとえ知ったとしてもほんの一瞬だけで、図のように飛行機の移動や地球の自転によって、結局はわからなくなってしまうからです。

そこで、地球の磁気(地磁気)を探知したものを電気信号に変えて、DGの軸を常に磁北に向くように制御する方法が考えられました。地磁気を探知する装置をフラックス・バルブ(他の呼び名もある)と呼んでいますが、飛行機から出る磁気の影響を受けないよう、翼端に設置されています。

方向を知る代表的な計器がHSIと呼ばれている水平位置指示器と、RMIと呼ばれている無線磁方位指示器です。ただし現在のハイテク機では、地磁気を利用したものではなく、後で述べますが慣性航法装置によって、磁北(方位磁針の指す北)ではなく、地球の回転軸である真北(地形図の北)を基準としています。ただ、現在でも航空路などは磁北を基準とした方位で設定されているので、地磁気のデーターベースを利用し、真北から磁北を算出しています。

どうして方向がわかるのか

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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