高く飛ぶほうが燃費が良い? 成田-ロンドン間で採用されるステップ・アップ巡航とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


なぜ、エンジンが使う燃料の流量を計る?
燃料流量計が果たしている重要な役割とは
燃料流量計は、エンジンに流入する燃料を計っています。単位は、1時間当たりに流れる燃料の重さです。量ではなく重さである理由は、飛行機の重さを知るためです。飛行機の重さは、離陸する距離や速度、どこまで上昇できるかといった飛行全般に大きく影響しているためです。
飛行機の重さの中で、乗客や荷物の重さは飛行中に変化しません。乗客が用を足しても、外に放出するわけではないので、機内にいる限り、人ひとりの重さに変化はありません。
しかし、唯一、エンジンが消費する燃料の重さだけは変化します。例えば、成田からロンドンまでに消費する燃料は、約130トンです。一般的に飛行機の燃費は、高い高度を飛ぶほうがよくなる傾向があり、最も燃費がよくなる高度を、最適高度といいます。
この最適高度は、飛行機が軽くなるほど高くなるので、ロンドンまでの飛行では、燃料消費にともない巡航高度を順次上げていく、ステップ・アップ巡航方式をとっています。
また運航コストを考慮したECON速度と呼ばれる、経済的な巡航速度も飛行機の重さによって変化します。
ただ飛行中に、飛行機の重さを量ることはできないので、出発時に搭載された燃料の重さから消費燃料の重さを引き、飛行機の重さを算出しなければなりません。そのため燃料流量計からの信号は、逐次コンピュータに入力され、最適高度や経済速度を算出するための重要な要素となっています。他のエンジン計器と違い、常に監視しなければならない計器ではありませんが、以上のように重要な役割を持っています。

飛行機は高い硬度を飛ぶ方が燃費がよくなる傾向にあります。燃費は改善され有利な重さになると、高い高度に上昇します。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。
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