別の鳥だと思われていた!? トキの羽の色が変わる理由とは【眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話】

トキは繁殖期が近づくと真っ黒になる
羽を染める繁殖の印
淡いピンク色の羽が美しい鳥「トキ」。かつては日本各地の湿地で見られましたが、狩猟や生息環境の変化によって日本のトキは一時絶滅しました。
その後、人工繁殖に成功した個体を佐渡島に放して野生復帰を目指す取り組みが続けられました。現在、佐渡島では500羽以上の野生のトキを見ることができます。
春の繁殖期になると、トキの体にある変化が表れます。白く美しかった羽が、だんだんと黒や灰色がかった色に変わっていくのです。この羽を「生殖羽」と呼びます。
この黒の正体は、頭から首にかけての部位から分泌される液体だといわれています。トキはこれを自分の体になすりつけることで、羽を黒く着色しているのです。繁殖期の合図やパートナーへのアピール、あるいは天敵から身を守るカモフラージュの役割を果たしているのではないかと考えられています。
黒い羽に変化した体は、子育てが終わる頃には羽が抜け替わり、自然と元のやさしい色合いのトキ色に戻ります。
繁殖期に羽の色やフォルムなどが変わる鳥は他にもいますが、このように自らを着色することによって羽の色を変える行動は、トキだけに見られる特徴だといわれています。
かつては“別の鳥”だと思われていた
通常のトキは白〜薄いピンク色です。その美しい色合いは古くから人気で、平安時代には「トキ色」が和歌や染色名などに登場していました。繁殖期が近づくと、頭部から背中にかけて濃い灰色に変化します。生態がわかっていなかった頃は、別の種ではないかと思われていました。

羽が黒くなる理由
頭から首にかけての部位から分泌される液体を体にこすりつけることで、羽が黒くなります。繁殖期に備え、天敵から巣の位置を見つかりにくくするためではないかと考えられています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』監修:小宮輝之
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』
監修:小宮輝之
飼うこと、食べること、動物園・水族館・花鳥園などでの鑑賞、身近にいる野鳥など、寿命が長い上、インコやオウムなどは話したり、歌ったりとコミュニケーションもとれることから、日本には愛鳥家も多く鳥関連のイベントも定期的に開催されており、動物類のなかでもコアファンが多い生き物です。
鳥類は恐竜時代から大量絶滅を唯一生き延びた動物のため、歴史も古く、進化の過程で飛ぶ・飛ばないをはじめ、大きさや形、色、生息地域も異なり、外見も内面も個性豊か。
社交性も高い上、カラスやオウムなどは知能も高く、行動学の観点でも面白い特徴が多く見られます。
「約1万種類いる鳥類の半分はスズメの仲間」
「鳥の祖先は、結局恐竜なの?」
「鳥に歯はない。くちばしは骨?角質?」
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そんな鳥たちの意外な生態や知られざる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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