境界線は「拒絶」ではない? 自分も相手も大切にするためのコミュニケーションスキル3つを紹介【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

3つの柱「バウンダリー」「アサーティブコミュニケーション」「対話」
最近はバウンダリーに言及している媒体を多く見かけますが、「境界線」は他者との間に線を引いて自分を守るもの、と誤解されているむきもあるように感じます。それもまちがいではありませんが、自分を守り大切にすると同時に、相手を傷つけず、尊重するためのライフスキルだということを忘れてはいけません。
自分を確立・独立させながら、他者ともお互いにいい関係を育み、豊かに生きる。そのためには、バウンダリーのほかにも、「アサーティブコミュニケーション(自分の意見をしっかりと伝えつつ、相手の意見も大切にするコミュニケーション。アサーションとも呼ばれる)」、お互いの考えや感情を伝え合うための「対話」。この3つが大きな柱となります。
いい関係を育みながら豊かに生きるための3つの柱
【バウンダリー】
お互いが納得できる「境界線」を引き、自分の安心・安全を守りながら、自分と他者の対等な関係性をつくる。
【お互いを尊重するコミュニケーション(アサーティブコミュニケーション)】
相手を尊重しつつ自分の考えや感情を伝える、双方向のコミュニケーション。
【対話】
対等な関係性のなかで、お互いの考えや感情を伝え合う。思いを相手に汲み取ってもらおうとせず、的確な表現で伝えることも重要。

\「わたし」も「あなた」も大切にするためには、この3つの柱が欠かせません/
対等な立場でお互いを尊重する「アサーティブコミュニケーション」
わたしたちはしばしば、自分を下に見たり上に見たりする、いびつなコミュニケーションをとることがあります。
たとえば、職場で上司の提案に納得できなかったとき、「上司に意見するのも失礼だから」とモヤモヤしながら同意することがありますよね。この「上司だから」という遠慮は、相手を上げて自分を下げるという関係性を、自分のなかで勝手につくり上げることから生じたものです。
上司や先輩に対して、理不尽だと思いつつ自己犠牲を払ったり我慢をしたり。肩書きや役割に縛られるなかで、対等な関係性はどんどん失われ、「境界線」も混乱する一方です。こうした状況を改善するスキルがアサーティブコミュニケーションです。
これは、お互いの気持ちや考えを尊重しながら、傷つかない言い方で率直に伝えるコミュニケーションのことで、アサーションとも呼ばれます。
上司の例でいえば、頭ごなしに言い返すのではなく、「その提案もいいと思います。ただ、僕はこういう案のほうが取り組みやすいし、実現しやすいと思うんです。どう思われますか?」と自分の意見を提案する。いわば「提案型のバウンダリー」です。こんなふうに返せば、上司も自分も傷つかず、お互いの意見を尊重するコミュニケーションが実現できますよね。
お互いを傷つけずに考えを伝え合う「対話」の重要性
アサーティブコミュニケーションの実現には「対話」、つまりお互いの考えや感情を率直に伝え合うことが欠かせません。
最近注目されている心理療法で、「オープン・ダイアローグ(開かれた対話)」というものもあります。これは患者と医師だけでなく、看護師や心理士、患者の家族などがグループで自由に発言し合い、課題を解決しようとする、フィンランド発祥のメンタルケアの手法です。
ケアの現場に限らず、「対話」を活用することでコミュニケーションが円滑になることは、なんとなくイメージしやすいのではないでしょうか。
対話するにあたって重要なのは、自分の考えや感情をきちんと表現すること。たとえばある映画のよさを伝えるときに、「感動した」「しみた」だけではよさが伝わりませんよね。
「主人公は相手を思ってこういう行動に出たと思うから、その勇気に感動したんだよね」と具体的に表現することが、相手に「伝える」ということなのです。
「わかってよ」と相手に委ねるのではなく、的確な表現で自分の思いを伝えることが、対話を育むことにつながります。
最近はSNSでの一方通行のコミュニケーションが当たり前になってきて、誰かを傷つけたり、誰かが傷ついたりすることも少なくありません。ときには、SNSが人々の対立や分断を生むことすらあります。
そんな時代だからこそ、お互いを傷つけず、考えを伝え合う対話の大切さを、今いちど見直してみてほしいと思います。
アサーティブコミュニケーションと対話が「境界の混乱」を防ぐ
自分を勝手に下に見て、相手の意見に納得できないのにうなずいてしまう。一方通行のコミュニケーションは居心地の悪い関係性をつくり、「境界の混乱」を招きます。


自分も相手も尊重しながら、どちらも傷つけることなく意見を伝え合う。こうした「アサーティブコミュニケーション」と「対話」が、「わたしとあなた」のいい関係性を育みます。

【出典】『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ
【著者紹介】
長谷川 俊雄
白梅学園大学名誉教授、社会福祉士、精神保健福祉士、NPO 法人つながる会代表理事、social work lab MIRAI 代表。
1981年から横浜市役所の社会福祉職として現場で活動したのち、精神科クリニックのソーシャルワーカーに転職。その後、愛知県立大学での教員経験を経て、2009年に「NPO 法人つながる会」を設立。2010年から白梅学園大学に移り、教育・実践・政策提言に携わる。2023年に「social work lab MIRAI」を開設し、援助職支援や家族支援にも取り組む。「バウンダリー」についてのワークショップを各地で行っている。
【イラストレーター紹介】
高木ことみ
ゆるくてかわいいイラストを制作するイラストレーター。とくに、難しい内容を図やイラストを用いてわかりやすく伝えることが得意。見ている人に親しみを感じてもらえるような表現を心がけている。おもな作品に『ゆるゆる稼げるWeb ライティングのお仕事はじめかたBOOK』(技術評論社/表紙・本文イラスト)、『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社/表紙・本文イラスト)など。
【書誌情報】
『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』
著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ
「バウンダリー」とは、自分と相手の合意のもと「ここからは立ち入らないでね」という境界線を引くことで、「わたし」と「あなた」の安心・安全・尊厳を守る考え方です。
本書はこの境界線を引く考え方から、仕事・家庭・人づきあいの中のしんどい場面で実践できる具体的な対処法まで、あわせて紹介します。
・怒っている相手に委縮してしまう
→「hear」「listen」「ask」3つの「聞く」を使い分ける
・NOと言えない
→即答せず「持ち帰る」だけでもOK
・苦手な目上の人がいる
→相手への「評価」の置き方を変えてみる
・長い会議で人疲れする
→深呼吸や簡単な瞑想で境界線をリセット など
人間関係をもっとラクに、安心・安全にするために、「わたし」と「あなた」のあいだに心地いい境界線をつくるためのアイデアを紹介します。
「仕事や責任を押しつけられて、いつも自分ばかり損をしている」
「人の言動や気持ちに影響されて、振り回されてしまう」
「人を優先しすぎて、自分の時間や人生がすり減っていく」
「つい家族やパートナーに干渉しすぎてしまう」
「人間関係がしんどくなり、リセットを繰り返してしまう──」
こうした人間関係の悩みの根本には、バウンダリー(境界線)の混乱が隠れているかもしれません。
バウンダリーの考え方を取り入れることで、これまでとは違う視点から人間関係の問題を整理し、自分をすり減らさない選択ができるようになります。
■バウンダリーを5つのカテゴリで整理
バウンダリーを
「からだ」「感情・意志」「責任」「時間」「お金」
という5つの領域に分けて紹介。
人間関係の悩みがどの境界線の混乱から生まれているのかが見え、状況を冷静に捉えやすくなります。
■「ライン」と「ベルト」で境界線を使い分ける
境界線を細い「線(ライン)」だけでなく、状況に応じて幅をもたせた「ベルト」として捉える考え方も提案。
相手や場面によって無理なく距離を調整する方法がわかります。
境界線を引けるようになると、
・自分のからだと心を危険や消耗から守れる
・安心・安全で心地よく過ごせる
・誰にも支配されず、自分の感情や考えを大切にできる
・自分の行動や価値を、自分で決められる
ようになります。
しんどい人間関係に悩むあなたへ。
自分も相手も尊重しながら、人と関わるための一冊です。
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