水面近くだとパワーが半減? 巨大な船体を押し進めるプロペラの反作用パワー【眠れなくなるほど面白い 図解 船の話】

船はプロペラの推進力で進んでいる

プロペラがつくる前へ進む力の正体

船を前へ進める力の源は、船尾に取りつけられたスクリュープロペラです。ネジ(スクリュー)の原理により回転によって水を後方へ押し出し、その反作用が前向きの力として船に働きます。水の流れを生み、その流れに押されることで船は進んでいくのです。

プロペラの軸にはねじれた羽根(ブレード)がつき、回転すると水を連続的に押し出します。角度や枚数、直径は用途に応じて最適化され、大型タンカーでは大径・低回転型、高速船では小径・高回転型が選ばれるのが一般的です。

さらに、プロペラを取りつける位置も重要です。水面に近い位置だと、回転時に空気を引き込みやすくなり、力がうまく伝わりません。また、プロペラが水を強くかき出すと羽根表面の圧力が下がり、小さな気泡が発生します。これがキャビテーションで、推進力を弱めるだけでなく、振動や騒音の原因にもなります。こうしたトラブルを避けるため、プロペラは十分な水深が保たれる場所に取りつけられるのです。

近年は、流れを整えるダクト付きプロペラや、羽根角度を調整できる可変ピッチプロペラなど、効率向上の技術も普及しています。運航条件に応じて性能を引き出せる点が特徴です。

水面下にある目立たないプロペラですが、船にとってなくてはならない存在なのです。

スクリュープロペラが水を押すしくみ

スクリュープロペラは水を後ろへ押し出し、その反作用で船を前へ進めます。羽根の形や回転数は、船によって異なっています。

取りつける位置がポイント

○ よい例

水面から深い適切な位置にあれば、正常に効率よく作動し、船を推進させる

× 悪い例

水面に近い位置にあると、空気を巻き込んだりキャビテーションが起こったりして、推進力が低下してしまう

プロペラが浅い位置にあると、推進効果が半減してしまいます。振動や騒音も増えるため、十分な水深の位置に取りつけるのが鉄則です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』監修:池田良穂

【監修者紹介】
池田良穂 (いけだ よしほ)
1950年北海道生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科博士後期課程船舶工学専攻修了。同大学工学部船舶工学科助手、助教授を経て、同大学大学院海洋システム工学分野教授に就任。退職後、現在は大阪府立大学名誉教授、大阪公立大学客員教授。船舶工学研究活動に従事し、著作活動では船舶工学・海洋工学等に関するテーマで70冊あまり執筆。主な著書に『図解 船の科学』(講談社)、『基礎から学ぶ海運と港湾』(海文堂出版)、『船の最新知識』(SBクリエイティブ)、『船舶算法と復原性』(共著、成山堂書店)、『船のしくみ パーフェクト事典』(ナツメ社)などがある。
2023 年日本船舶海洋工学会「船舶海洋技術賞」受賞。雑誌、新聞等への寄稿も多く、日本における船舶の理解と認知度の向上に貢献したとして、2025年に国土交通大臣から「交通文化賞」を受賞。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』
監修:池田良穂


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