ヒトの遺伝と何が違う? 愛猫の毛柄を決定づける遺伝子のメカニズム【猫柄図鑑】

猫と学ぶ遺伝子の基本

猫の毛柄は遺伝子の組み合わせで決まります。
その仕組みを、“ 猫の手” を借りながらわかりやすく解説していきましょう。


 遺伝学と聞いて、「何だか難しそう」と尻込みしてしまう人もいるかもしれません。ですが、日本猫の多彩な毛柄が実はたった8つの遺伝子の組み合わせで決まっていると聞けば、ちょっぴり興味が湧いてくるのではないでしょうか。

 猫の毛色の遺伝学を勉強すれば、「兄弟なのに毛色がバラバラなのはなぜ?」「三毛猫はほとんどがメスなのはどうして?」といった猫の毛柄の謎がおのずと解けるようになります。そして、身近にいる猫への見方も変わってくることでしょう。

そもそも遺伝子って?

 遺伝子は細胞の核の中にある染色体(DNAをギュッと圧縮したもの)の上に並んでいて、生き物の外見や性質はこれらの遺伝子によって決定されています。「遺伝子= DNA」と考えている人も多いと思いますが、厳密にはそうではありません。DNAとは、遺伝情報などが書き込まれた、ものすごく細くて長い糸のような「物質」のことです。DNAの中でも、生き物の外形や性質などを決める遺伝情報(つまり、設計図)を持つ部分のことを「遺伝子」と呼びます。

 遺伝子の中の遺伝情報も、それぞれの個体によって微妙に異なります。また、たくさんの遺伝子を考えた場合、全く同じ組み合わせを持つものはクローン以外には存在しません。人間の場合もそうですが、全く同じ外見や性質を持った猫が存在しないのは、そのためです。

【POINT】

染色体は、ものすごく細くて長いDNA が糸巻きに巻かれるようにコンパクトに圧縮されて、棒のような形をしています。猫の場合、父親と母親からそれぞれ19本の染色体を受け継ぐので、猫の染色体は合わせて38本(19対)となります

遺伝子座は遺伝子の「住所(アドレス)」

 染色体上のそれぞれの遺伝子の位置を「遺伝子座」と呼びます。いわば遺伝子の住所のようなもので、「猫に黒い毛を生やす遺伝子は染色体の○丁目○番地にある」という具合です。ひとつの染色体にたくさんの遺伝子が存在しますが、どの遺伝子にも決まった住所があります。

メス猫のX染色体

【POINT】

遺伝学の世界では、遺伝子座は「00a00-a00」のように数字と文字の組み合わせで表記されます。身近なものに例えると、郵便番号(○○○-○○○○)や、住所(○○県○○市○丁目○番地-○)、あるいはメールアドレス(○○○○@○○○○ .jp)のようなものです。

同じ住所にある「対立遺伝子」

 同じ遺伝子座にある複数の遺伝子のことを「対立遺伝子」と呼びます。父親と母親からそれぞれひとつずつ対立遺伝子を受け継ぐので、同じ遺伝子座の対立遺伝子を2つ持つことになります。同じ住所の「遺伝子座」に2人が住んでいる、と考えればわかりやすいかもしれません。同じ遺伝子座にある対立遺伝子が、同じ遺伝情報を持つ場合は「ホモ」、違う遺伝情報を持つ場合は「ヘテロ」と呼ばれます。そっくりさんが2人ならホモ、他人同士の2人ならヘテロという感じです。

 猫の場合、4つの遺伝子座にそれぞれ2つずつある対立遺伝子の組み合わせ(遺伝子型)が、その猫の毛柄を決めています。

 猫のO/o 遺伝子座の場合、O遺伝子とo 遺伝子の組み合わせならヘテロとなります。

人間の血液型を決めるA・B・O も対立遺伝子

 身近な対立遺伝子の例として、人間の血液型を決めるA、B、O の3つの対立遺伝子が挙げられます。例えば、母親がA型で遺伝子型がAO型、父親がAB型で遺伝子型がAB型だとしましょう。子どもは親の遺伝子をひとつずつ受け継ぐので、子どもの遺伝子型はOA型、AA型、BO型、AB型のいずれかとなり、血液型はA型とB型とAB型となります。

 子どもが両親から受け継ぐ対立遺伝子の組み合わせはランダム。いわば、2回限定のカプセルトイといったところです。

【出典】『猫柄図鑑』監修:山根明弘

【書誌情報】
『猫柄図鑑』
監修:山根明弘


【Amazonで購入する】

三毛猫はなぜ雌が多いのか、オッドアイはなぜ起こるのかなどの遺伝的なことから、
柄ごとの特性の違いを解明しながら解説しています。
猫を飼っている人もそうでない人も楽しめる楽しい「猫柄図鑑」です。

この記事のCategory

求人情報

インフォテキストが入ります