【発達段階に応じた遊びの視点】遊びの支援ポイントとケーススタディを紹介【発達が気になる子の認知遊び】

遊びの支援ポイントとケーススタディ
| 乳児期:感覚体験とやりとりを基盤にした支援 幼児期:ルール・ステップの可視化と感情調整支援 学童期:計画・協働・成功体験の積み重ね |
発達段階に応じた遊びの視点
遊びを通した支援は、年齢や発達段階によって大切にしたい視点が異なります。
乳児期は感覚体験と人とのやりとりを通して、安心して世界に触れることが基盤となります。
幼児期には、試す・考える・やり直す経験を重ねながら、ルールの理解や感情調整の力が育っていきます。
学童期では、見通しをもった計画や協働、成功体験の積み重ねが、生活や学びの安定につながります。ここでは、それぞれの時期に応じた遊びの支援ポイントと具体的なケースを紹介します。
●乳児期(0~2歳頃)
【どんな時期?】
乳児期は感覚運動を通じて世界を理解する時期で、五感を通した探索こそが学びの基盤です。感覚刺激に過敏な子どもや、注意力の持続が短くすぐに飽きてしまう子も少なくありません。
こうした子どもには、触覚・聴覚・視覚をやわらかく刺激する遊びを取り入れることが重要です。たとえば、やわらかい布や水に触れたり、手づくりの音の出るおもちゃで遊ぶなどで、安全に感覚体験を促します。
【遊びのポイント】
「いないいないばあ」や模倣遊びなど、予測と反応のやりとりを少しずつ導入することで、他者との社会的つながりの基礎を育むことができます。
また、おとなは刺激量を調整し、無理に参加させず、見ているだけでも「遊び」として認めることで安心感の確立につながります。乳児期の遊びは、感覚体験とやりとり体験を組み合わせることで、のちの認知発達や情緒の安定に大きく影響します。
ケーススタディ❶Aちゃん(5か月)
Aちゃんは音に敏感で、保育室の鈴の音や歌声で泣いてしまうことが多く、抱っこしても落ち着かないことがありました。そこで、おとなと1 対 1 の場面を設定し、布の感触遊びやそっと声をかけるタッチ&声かけ遊びを取り入れました。はじめは泣きながら手を伸ばす程度でしたが、数週間ほどで自分から布を触ったり、保育者の顔を見て笑う回数が増え、音や触覚に慣れる姿が見られるようになりました。
ケーススタディ❷Bくん(8か月)
Bくんはひとり遊びが中心で、他者とのやりとりに関心を示さないことが多く、保育者が声をかけても反応が薄い状態でした。そこで、興味のある感覚おもちゃを取り入れ、三項関係(下記)をつくりながら、おもちゃを介してやり取り遊びを同じパターンでくり返しました。保育者がゆっくり表情を見せること、おもちゃを介して視線を合わせることを意識し応答を引き出しました。数日後には、B くんが自分から視線を合わせたり、笑顔で手を伸ばす場面が増え、少しずつ他者との簡単なやりとりを楽しめるようになりました。
共同注意と三項関係
共同注意とは、子どもとおとなが「同じもの」に意識を向け、その経験を共有すること、コミュニケーションの第一といわれる発達です。
そして三項関係とは、「子ども―おとな―物(出来事)」の三者がつながる関係を指します。
三項関係とやり取り遊び
①本来は、子どもと大人は間になにもなくてもやり取りが成立する。

②人への関心が薄い場合は、大人からの一方通行となる。

③子どもの興味のあるもの(おもちゃなど)を間に入れる。

④子どもはまずものに注目する。そのものを大人が扱うことで、大人に気がつき、ものを使って遊びたいと思い、大人とやり取りが起こる。

⑤ものを交えてのやり取りを繰り返すことで、人への関心が生まれる。やがて、ものがなくても、人とのやり取りが成立するようになる。

【出典】『発達が気になる子の認知遊び』著:藤原里美
【著者情報】
藤原里美(ふじわら・さとみ)
一般社団法人チャイルドフッド・ラボ 代表理事/臨床発達心理士/保育士
公立保育園・東京都立梅ヶ丘病院・東京都立小児総合医療センター・明星大学非常勤講師を経て現職。
発達障害のある子どもの療育、家族支援を行うとともに、園の巡回や発達支援の研修など、支援者育成にも力を注ぐ。「子どもを変えずに、子どもの周りの世界を変える」支援方法により、現場や家庭で実現可能な実践方法を発信している。
<子どもの得意と不得意のアンバランスを理解する!脳が理解しやすい「得意なルート」の探し方>を読むにはこちらから
【書誌情報】
『発達が気になる子の認知遊び』
著:藤原里美
発達が気になる子といっしょに!
楽しい遊びを通して、子ども自身が困っていることの解決をめざす大人気シリーズ。
認知発達とは、見る・聞く・記憶する・覚える・考える・予測するなど、情報をキャッチし、物事を理解して考える力が育っていく過程を指します。
わたしたちは日常のなかで多くの情報を受け取り、その情報をあたまのなかで「整理して」、「次にどうするかを判断」しています。
認知発達はこの一連の過程を支える基盤であり、学習だけでなく、生活全般や人との関わり方に深く関係しています。
・遊びが続きにくい
・集団遊びに入りづらい
・指示が入りにくい
・切り替えが難しい
・ルールのある遊びが苦手 など発達が気になる子にとって、
認知発達を育む遊びは特に重要です。
本書で紹介する150個の「認知発達遊び」は、日常のなかで遊び、関わりながら、
その子のペースで認知の土台を育てていくためものです。
認知発達をつぎの7つの領域に分けて解説し、それぞれの領域を育てる具体的な遊びの提案をしています。
1知覚
2注意・処理
3記憶
4言語思考
5実行機能
6社会的認知
7メタ認知
診断の有無にかかわらず支援したいとき、「教える」より「育てる」関わりを大切にしたい場面などで、
それぞれの発達段階にあわせながら、無理なく取り入れられる遊びを紹介します。
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