「問い」によって物語の深さが変わる!賞を勝ち取るために必要な「読者の思考を動かす」小説の書き方

書く前にやっておきたい編集目線の下準備

物語を書きはじめる前に、用意しておきたいことがあります。「どの賞を狙うか?」「その賞の読者は?」執筆に入る前に、スケジュールまで設計していくことが大切です。


作者が“いいたいこと”を前面に押し出すのはNG

物語の中に“問い”を置くことで、読者の思考を動かすことができます。読後に残る余韻も、作品の深度も、提示した問いの質によって決まります。

要点

  • 作家の主張より「読者が考える余地」が大事
  • 問いがある物語は読後の残響が強くなる
  • テーマは登場人物の行動動機と連動させる

【編集者】作中には“問い”を置いて結論は読者に考えてもらう

 物語が説教臭くなる最大の原因は、作者の“結論”が先に立ちすぎることです。「家族が大事」「友情が尊い」といった主張を前面に押し出すと、登場人物の行動が結論へ向かうための装置のように見え、読者の心が動きにくくなります。編集者が注目するのは、“何をいいたいか”ではなく“どんな問いを投げているか”です

 強いテーマとは、作中で回答しきれない問いを提示することです。「正しさとは何か」「守るべきものはどこにあるのか」「幸せは誰が決めるのか」――こうした普遍的な問いは、登場人物の葛藤を深め、読者の思考を巻き込みます

 テーマを問いとして設計すると、物語の緊張感や行動の重みが自然と生まれ、物語の軸がぶれません。読者は問いに導かれながら読み進め、読後に「自分ならどうするか」と考え続けます。この“残響”こそが、強いテーマの証であり、選考に残る作品に共通する要素です。

【作家】テーマのない作品は一次選考を通過しない

 物語創作においては明確なテーマが大切だと触れられました。テーマは作品を貫く芯であり、つねに主人公の言動とリンクして展開を動かす原動力です

 面白い物語とは、読み進めるうちに主人公と一心同体になり、テーマの解決や追求のため、心をぐいぐい牽引されるストーリーラインを構成しているもの。そして読者は主人公に自身を重ね、やがて向かうエンディングで鮮烈なカタルシスを覚えます。ここで重要なのは、テーマもまた物語創作の仕掛けの一部だという認識です。その役割は読者の“感情移入”と“共感”を誘うものでなければなりません。物語を書きはじめるとき、とかくアイデアやキャラ造形に走り勝ちですが、着想段階で「この物語のテーマは何にしよう?」と吟味しましょう。本書の後半で選考の基準に触れますが、テーマの存在は大前提です。テーマなき作品はもちろん一次選考を通過しません。

物語のテーマについて理解しよう

【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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