唯一無二の馬券師・弥永明郎『伝授』第29回 活躍した牝馬の産駒でも走らない理由&早くから動ける2歳馬について伝授

 活躍した牝馬の仔は同じように活躍してくれるんじゃないかと期待するファンも多いと思う。ただ、ソコソコ競馬をやっている人は分かると思うが、決してその期待通りにいくとは限らないもの。
 今回は毎年牧場にも足を運んでいる俺の視点で、活躍した母馬の仔はどれくらい走るのか?について考えてみたい。

活躍した母馬の仔が走らなくて、未勝利で早く引退した牝馬から走る馬が出るケースが多々ある理由を考えてみる

 母馬が活躍しても、仔が走らないケースは少なくない。古いところでは、牝馬三冠など重賞7勝を挙げたメジロラモーヌは12頭の仔を産んで一頭も活躍馬は出すことができなかった。最近だとダイワスカーレットなんかも期待に応えたとはとても言えないよな。

 結果を出した牝馬は、ある程度の年齢になるまで現役で走ることになる。だから母馬になるのが遅くなって、能力が高い仔を産めなくなるというのは昔から言われていること。やっぱり若い母体からのほうが元気で脚も速い子供が生まれるということなのだろう。

GⅠを4勝したダイワスカーレットだが、産駒は11頭いて最高でも3勝クラスまで

 実際、馬は2歳から仔を宿すことができるけど、現実的にそれはなく平均的には5歳くらいまで走る。すると母馬になる頃には6歳や7歳になってしまい、馬の年齢としては若いとは言えない。一般的に年をとった繁殖牝馬は嫌われる。だからというわけではないが、1つも勝てず3歳で引退した若い母馬から活躍馬が誕生することもある。
 もちろん活躍した母馬から生まれた仔でも走っている馬はたくさんいる。とにかく、科学的に証明できないことがたくさんある世界だ。

1番仔よりも2番仔、3番仔が走る!?

 一般的には1番仔(初産)はまだ母馬の産道が狭くて小さく生まれることが多いから、2番仔、3番仔がフレッシュで最も良いと言われている。だけど、例えばあのアーモンドアイは7番目の仔だし、何が正解かは誰にもわからない。

稀代の名牝・アーモンドアイは母フサイチパンドラの7番仔

 連続して活躍する仔を出す母馬もいるけど、全きょうだいなのに能力に大きな差のある仔を産むケースも多々ある。どうすれば毎回走る馬を出せるのかは俺にもわからないし、それがわかるなら誰だってやっている。生産者は色んな事を考えて配合しているけど、そう簡単に重賞をいくつも勝つような馬は誕生しない。

 たいていは健康体で生まれて、馬体に悪いところがなかったら、走るメンバーの組み合わせ次第で一つは勝てる。夏の3歳未勝利戦なんてレベルはだいぶ落ちているしな。だけど、億の馬だってデビューするのすら叶わない馬もいるのが実際のところ。
 だから、馬主で成功するのは難しいし、難しいからこそチャレンジしてみたくなる魅力があるとも言える。

・早くデビューできるかは馴致に行く前からわかる

 不慮の事故は別として、馴致に行く前の1歳の秋くらいの段階でもわかることが多い。
 この馬は体がしっかりしているから、早い段階から順調にデビューできるなというのは、馬を見ればある程度わかる。逆に弱いところがあって、遅くなりそうだなというのもわかる。
 またその時期でも素質がありそうというのは、馬に携わっている人間が10人いれば8、9人は判断できるだろう。体つきとかで結構差は出ているからな。
 だけど、良く見えても走らなかったり、全く見栄えがしなかった馬が走ったりするケースもたまにあるのが競馬の奥深いところ。

・早い段階での2歳馬の入厩

 早い時期に入厩してくる2歳馬がいるけど、前提として健康体じゃなければトレセンに持ってこられない。実際はトレセンに緩い馬はたくさんいるが、とりあえず入厩させてゲート試験だけ受からせてまた牧場へ出すというのが主流となっている。
 ゲート試験に進めるということは、健康体であることは明確で、合格できるくらいには速く動けることが求められる。だからといってすぐにデビューできるのか、はたまた能力が高いのかは別問題。この段階で一般の人が判断できる材料はなく、牧場に行って動きを見るか、関係者に聞くしかない。そういった情報をできるだけ競馬ファンに届けるのが俺たち競馬記者の仕事だよ。

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