報酬500万の天才シェフが近所の小学生に“タダ”で手打ちパスタを作った理由とは?名作『ザ・シェフ』第15話が描く味沢匠の「隠された素顔」

「法外な報酬を要求するが、依頼人の希望に応じた完璧な一皿を作り上げる」 そんなダークヒーロー的な魅力で、1980年代から多くの読者を魅了し続けている天才シェフ・味沢匠。

作中では、大富豪や国家の要人を相手に数百万、時には数千万円の報酬を堂々と要求する味沢ですが、実は「お金を持たない社会的弱者」や「本当に心が傷ついている人」に対して、驚くほど無償の救いを差し伸べることがあります。

その代表的なエピソードが、『ザ・シェフ』の第15話「心の料理①」です。

なぜ、冷徹なはずの天才料理人は、近所の小学生のために“タダ”で包丁を握ったのでしょうか。

いつもは「500万円」を要求する冷徹なプロフェッショナル

『ザ・シェフ』(原作:剣名舞、劇画:加藤唯史)の基本スタイルは、味沢匠がその卓越した料理技術によって、依頼人が抱える困難な状況や人間関係の歪みを、胃袋と心を通じて解決していく一話完結の人間ドラマです。

単行本に掲載されている他エピソードでも、ホテルの晩餐会や国家レベルの要請に対し、味沢は「500万円」といった高額な報酬を冷酷に提示します。

彼にとって料理とは、甘えを許さない命がけのプロの仕事だからです。

しかし、そんな彼が住む、家具すらほとんど置かれていないガランとしたマンションの部屋。

そこを偶然通りかかったのが、同じマンションに暮らす、父親を失い寂しさを抱えた小学生の祐介でした。

計算や妥協は一切なし!子供相手でも「本気」で向き合う職人魂

晩ご飯をまだ食べていない祐介を、味沢は「おじさんの部屋にくるかい?」と自然に招き入れます。

ここで味沢が見せた行動こそ、彼の料理人としての、そして人間としての本質を表しています。

祐介が望んだ「カレー」「ハンバーグ」「スパゲティ」という、子供らしい無邪気なリクエストに対し、味沢は鼻で笑うことも、あり合わせのレトルトで済ませることもありませんでした。

なんと、祐介の目の前で、スパゲティの麺を粉から本気で打ち始めたのです。

味沢にとって、相手が数百万を払う大富豪であろうと、お金を持たない一人の寂しい子供であろうと、「料理で人の心を救う」という目的に対しては一切の妥協を許さない。

これこそが、味沢匠という男の最大の魅力であり、プロフェッショナルとしての誇りなのです。

「心の料理①」が残した伏線―母の相談とは

この第15話「心の料理①」の結末では、深夜に帰宅した祐介の母親が、味沢の部屋を訪れ、「実はもっとご相談したい事が……」と切り出す場面で幕を閉じます。

祐介が「カレーハンバーグスパゲティ」を食べて取り戻した笑顔。

自身の育児や仕事への葛藤と、亡き夫への想い――。

味沢が作った夢のワンプレートは、単に子供を喜ばせただけでなく、崩壊しかけていた親子のコミュニケーションの架け橋となりました。

<第1話:幻の料理人①>を読むにはこちらから
https://love-spo.com/article/the-chef_001

『ザ・シェフ』次回へ続く!

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【書籍情報】
『ザ・シェフ』
原作:剣名舞
劇画:加藤唯史

法外な報酬を要求するが、依頼人の希望に応じて料理を作り上げる天才シェフ・味沢匠(あじさわ・たくみ)の活躍を描いた料理劇画。石油産出国であるパミール王国でその全権を握る大臣は、外務省関係者がもてなす帝都ホテルの晩餐をほとんど食べ残して帰る。そこで「幻の料理人」と呼ばれる天才シェフ・味沢匠が、大臣を満足させる晩餐を作るように依頼されるが、味沢はその報酬として500万円を提示して……!?

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