味沢匠が振る舞った「究極の一皿」と富豪が生きる意欲を取り戻した理由|【ザ・シェフネタバレ】第30話「最後の晩餐」あらすじ解説

料理マンガの金字塔『ザ・シェフ』(原作:剣名舞/劇画:加藤唯史)。法外な報酬と引き換えに依頼人の悩みを解決する天才シェフ・味沢匠(あじさわ たくみ)の活躍を描いた本作の中でも、特に屈指の名作として語り継がれているのが第30話「最後の晩餐」です。

全財産を投げ打ち「人生最後の食事」に臨む車椅子の富豪に対し、味沢が差し出した一皿とは何だったのか?

ストーリーのあらすじと結末を詳しく解説します。

豪華絢爛な珍味が並ぶ「最後の晩餐会」

物語の舞台は、人生の終着点を前にした富豪・三條が催した特別な晩餐会です。テーブルには中村宗哲の本漆の器に盛られたマナガツオや自家製カラスミをはじめ、北京ダック、熊の手の煮込みといった高級食材がズラリと並びます。

さらに、始皇帝が好んだとされる生きた猿の頭から作られた「脳ミソのつくね」や、「コウモリの目玉のスープ」といった世界の超希少な珍味まで振る舞われ、集まった美食家たちを驚嘆させます。しかし、どれほど贅を尽くした料理であっても、生きる気力を失った車椅子の富豪の心を心底から満たすことはできませんでした。

味沢匠が振る舞った「ノワゼットのソテー」

そんな場に登場したのが、「幻の料理人」と呼ばれる味沢匠です。他の料理人がコッテリとした高級料理やグラタン、ピッツァなどを競うように出す中、味沢が差し出したのは驚くほどシンプルな一皿でした。

それが、ライムの汁をかけ、千切りの皮を散らした骨付きフィレ肉の「ノワゼットのソテー」です。爽やかなライムの香りと洗練された肉の旨味が広がるこの料理に、富豪は目を見開きます。

少年が生きる意欲を取り戻した「ある逸話」と感動の結末

料理を味わう富豪に対し、味沢はある逸話を語り始めます。

昔、交通事故で家族全員を失い、人生に絶望して自死する場所を探していた一人の少年がいた。少年は「死ぬ前の最後の食事」としてふらりと立ち寄ったレストランで、ある一品を食べ、その素晴らしさに激しく感動した。そして「自分自身の手でその料理を研究し、作りあげたい」という強い思いを抱き、生きる意欲を取り戻したのだ——。

この物語と爽やかなノワゼットのソテーに強く心を揺さぶられた富豪・三條は、自死を思いとどまる決意をします。「一年後の晩餐会で、もう一度この料理を食べてみるか」と呟いた富豪に、付き人は涙を流しながら「私はどこまでも付き合いますよ」と答えるのでした。

去り際、味沢の連れから「あれは君自身の過去では…?」と問われるラストシーンは、味沢匠という男のルーツを匂わせる屈指の感動的名場面となっています。

<第1話:幻の料理人①>を読むにはこちらから
https://love-spo.com/article/the-chef_001

『ザ・シェフ』次回へ続く!

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【書籍情報】
『ザ・シェフ』
原作:剣名舞
劇画:加藤唯史

法外な報酬を要求するが、依頼人の希望に応じて料理を作り上げる天才シェフ・味沢匠(あじさわ・たくみ)の活躍を描いた料理劇画。石油産出国であるパミール王国でその全権を握る大臣は、外務省関係者がもてなす帝都ホテルの晩餐をほとんど食べ残して帰る。そこで「幻の料理人」と呼ばれる天才シェフ・味沢匠が、大臣を満足させる晩餐を作るように依頼されるが、味沢はその報酬として500万円を提示して……!?

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