勉強を頑張らせる前に絶対知っておくべきこと。小児科医が教える「子どもの脳が育つ正しい順番」【子ども脳疲労】

子どもの脳は「3つの脳」でできている

脳は3つの役割に分かれている

 脳というと、ひとりにひとつあるもの、というイメージが強いかもしれません。ただ、働きごとに見ていくと、脳は3つの種類に分けることができます。それが「からだの脳」「おりこうさんの脳」「こころの脳」です。それぞれが担っている役割は異なり、育ち方にも決まった順番があります。

 まず土台になるのが、「からだの脳」です。これは0〜5歳ごろに育つ部分で、姿勢を保つ、眠る、食べる、呼吸するといった、生命を維持するために欠かせない働きを担っています。空腹や満腹を感じる、体を休める、緊張と弛緩を切り替えるといった感覚もここに含まれます。生活リズムが整っているとき、体が自然に落ち着くのは、この土台が安定しているからです

 次に育っていくのが、「おりこうさんの脳」です。6〜14歳ごろに発達し、知能、言語、知覚、情感、手先の器用さなどを司ります。考える、覚える、工夫する、理解する、集中するといった働きを促し、学校の勉強やスポーツの上達に関わる力の多くは、この脳によるものです。ただし、この脳は単独では力を発揮しにくいという特徴があります。からだの脳が不安定なままでは、集中が続かなかったり、覚えたことが定着しにくかったりする場面も出てきます。

 そして最後に整っていくのが、「こころの脳」です。10〜18歳ごろにかけて育ち、論理的に考える、状況を判断する、問題を整理する、想像力を働かせるといったことに役立ちます。感情や衝動に振り回されず、いったん立ち止まって考えることができるようになるのも、この脳の働きが関係しています。人と折り合いをつけ、自分の気持ちを言葉にし、先のことを見通すという成熟した力は、年齢とともに少しずつ育っていくものです。

子どもの脳は「順番」で育つ

 これら3つの脳は、「からだの脳 → おりこうさんの脳 → こころの脳」という順に、段階を追って育っていきます。順番を飛ばして先の力を引き出そうと働きかけても、脳はうまく応えきれません。あらゆる生命活動の土台となるからだの脳が十分に育っていない状態では、その先にあるおりこうさんの脳やこころの脳を順調に育てることは難しくなります。

 もし子どもがうまく動けない場面があったときは、「3つのうち、どの脳が主に働く場面だろう」と考えてみてください。そして、脳の土台であるからだの脳が整っているかを見直してみます。

 たとえば、勉強に励んでほしいとき、おりこうさんの脳の働きを無理に引き上げようとするより、まず生活リズムや休息が整っているかを確認するほうが近道です。土台が安定してこそ、その先の力は自然に伸びていきます。

子どもの脳は順番に育つ

子どもの脳は「からだの脳→おりこうさんの脳→こころの脳」という順に整っていきます。土台が安定してこそ、その上の力が無理なく着実に育ち、将来の学びや感情のコントロールへとつながります。 

【出典】『子ども脳疲労』著:成田奈緒子

【著者紹介】
成田奈緒子(なりた・なおこ)
小児科医・医学博士・脳科学者。発達脳科学を専門とし、子どもの睡眠や生活リズムと脳の発達の関係を長年研究。医療現場で多くの親子と向き合うなかで、子どもの不調の背景には睡眠不足や過干渉など家庭環境の影響が大きいことに着目する。脳の発達段階に即した子育てのあり方を提唱し、講演・執筆活動を通じて広く発信。親子支援事業・子育て科学アクシスを主宰し、保護者向け講座や教育支援にも力を注いでいる。著書に『誤解だらけの子育て』(扶桑社)、『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP 研究所)、共著に『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB クリエイティブ)などがある。

【書誌情報】
『子ども脳疲労』
著:成田奈緒子


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「子どもはいつでも元気」はもう通用しない!?
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実は――子どもの「脳の疲れ」が関係している可能性があります。

かつては「子どもはいつでも元気」という考え方が一般的でした。
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