設定は“説明”ではなく“体験”させる。読者を物語に没入させる「行動描写」の使い方

\編集者の目に留まる物語創作のセオリー/

面白い物語の創作には、構成力が不可欠です。どこに山場を作るかという感情の設計から、読者が惹きつけられる冒頭の設計、すべてを設計していくのが構成です。


主人公の行動や仕草で世界観を“伝える”

世界観や設定を“説明”で語った瞬間、物語は止まります。編集者が評価するのは、行動と反応で世界観を理解させられているかどうかです。

要点

  • 説明が多い作品は読者の気持ちが冷める
  • 設定を説明するには文章ではなく行動描写
  • 説明過多は一次選考で減点対象になる

世界観や設定は語りすぎない

 説明文が多い原稿は、それだけで一次選考の評価を落とします。理由は単純で、物語が進んでいないからです。世界観や設定を正確に伝えようとするほど、文章は情報処理に傾き、読者の感情は置き去りになります。

 読者を引き込むのは、設定を説明する文章ではなく、設定がにじみ出る行動です。たとえば「この街では魔法が禁じられている」と書く代わりに、主人公が呪文を口にしかけて周囲の視線に気づき、言葉を飲み込む。その一連の動きだけで、ルールと緊張感は十分に伝わります。読者は説明を読むのではなく、状況を“体験する”ほうが、理解が滑らかになり没入感が高まります

 つまり、「この説明は行動に置き換えられないか」という視点が重要です。説明を削っても成立する作品は、読者の理解もスムーズになります。編集者は、情報が“どう提示されるか”を見ています。

説明文が多すぎると論文か作文に見える

 登場人物の誰の目で見させて、誰の口で語らせるか?

 小説を執筆する際は、つねにこのルールを念頭に置いて書き進めなければなりません。

 とりわけ注意が必要なのは冒頭から序盤にかけて。設定を練り、いよいよ本編を書きはじめたときは、とにかく世界観の解説や主人公たちが置かれた状況の説明に傾倒しがちだからです。

 そんなつもりはなくても、気がつけば書き手が自分目線でつらつら説明を文章化している、というのは非常に多いケース。小説のつもりが論文か作文になっています。ところが同じ内容を語るにしても、主人公をはじめとする登場人物の五感を取り入れながらセリフにしたり、思案する気持ちに代替したりすれば、読者はすんなりと受け入れます。実はこの技術、プロかアマかを明確に二分するかなり重要な描写スキル。読書量とセンスで補うしかありません。

世界観を伝えるときは人物描写のスキルが問われる

 【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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