心温まる人間ドラマから、血凍る近未来サスペンスへ!『レトロの片隅で』の昌原光一先生が描く『ノーメモリー』の新境地

漫画ファンの間でいま、ある「凄まじい作風のギャップ」が大きな話題を呼んでいます。

週刊漫画ゴラクにて、どこか懐かしく温かい人間模様を描いた名作『レトロの片隅で』を執筆している実力派漫画家・昌原光一先生。 その昌原先生が放つ待望の新連載『ノーメモリー』は、前作のノスタルジックな世界観から180度舵を切った、冷徹で血生臭い「近未来ノワール・サスペンス」でした。

なぜ、人間ドラマの名手がこれほどまでに残酷で美しい復讐劇を描き出すことができたのか?

今回は、作家・昌原光一の圧倒的な筆力と、本作に仕掛けられた表現の妙に迫ります。


昭和レトロの温もりから、消費税60%の冷酷な未来都市へ

前作で描かれたような人情味あふれる舞台とは打って変わり、本作の舞台は「20XX年」の近未来都市です。 パンデミックを経て急速にAI社会が確立され、テレビからは「消費税60%」や「爆破テロ予告」といった極限の社会ディストピア感が漂うニュースが流れる世界。

昌原先生の描く未来都市は、ただサイバーパンクなガジェットを並べるだけでなく、どこか「私たちの現実のすぐ先にあるかもしれない」と思わせるような、リアルで乾いた空気感に満ちています。

この重厚な世界設定の描き込みこそ、緻密な取材と構成力を持つ昌原先生ならではの職人技と言えます。


心理描写のスペシャリストが描く「表情の温度差」

昌原先生の最大の武器は、登場人物たちの「剥き出しの心理描写」にあります。

第1話のノブオが鏡の前でヒゲを剃りながら見せる、非常に穏やかで優しげな微笑み。 そして、職場で「今夜、計画通り決行するから」と告げられた同僚・夏目の、光が消えたような冷たい、何かを覚悟した表情。

血の通った温かい表情から、一瞬にして生命感が失われる「表情の温度差」の描写は、読者の心に強烈な違和感とサスペンスを植え付けます。 凄惨な銃撃シーンや脳への直接アクセスといったショッキングな描写も、この静かで緻密なキャラクターたちの感情表現があるからこそ、より一層そのグロテスクさと冷酷さが際立つのです。


サスペンスとしてのテンポ感と「極上のラスト」

『ノーメモリー』の第1話は、ミステリーとしてのテンポ感が完璧です。 ノブオがNFA(国立映画アカデミー)に復職し、裏で義兄と共謀して最初の「脳」を回収し、そして次のターゲットへと狙いを定めるまでの流れが、1話の中に無駄なく美しく収められています。

前作で魅せた「人間という存在の深み」を決して疎かにせず、それをあえて「復讐と狂気」というダークな方向へ全力で注ぎ込んだ本作。 昌原光一という作家の、底知れない新境地にして最高傑作となる予感を強く感じさせる、歴史的な第1話の開幕です。

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ノーメモリー ( 1)

【漫画情報】
『ノーメモリー ( 1) 』/昌原 光一 (著)

娘の殺害犯を探し出す。例え悪に染まろうとも――。

舞台は近未来の日本。
そこでは、『脳アクセス』と呼ばれる、死んだ人間の記憶を復元する技術が発達していた。
中川ノブオは、脳アクセスを用い、過去の名画を復元する仕事をしていたが、ある日、最愛の娘が何者かに殺害される。
それから2年の月日が経ち、事件は迷宮入りとなり、ノブオは自らの手で犯人を粛清することを決意する。
しかし、その方法は、娘殺害の容疑者6人すべてを死人とし、強引に脳アクセスを実行するというもので――⁉

娘の仇を討つため、修羅と化した父親による、後退不可の漆黒の復讐劇が幕を開ける‼

娘の殺害犯を探し出す。例え悪に染まろうとも――。

舞台は近未来の日本。
そこでは、『脳アクセス』と呼ばれる、死んだ人間の記憶を復元する技術が発達していた。
中川ノブオは、脳アクセスを用い、過去の名画を復元する仕事をしていたが、ある日、最愛の娘が何者かに殺害される。
それから2年の月日が経ち、事件は迷宮入りとなり、ノブオは自らの手で犯人を粛清することを決意する。
しかし、その方法は、娘殺害の容疑者6人すべてを死人とし、強引に脳アクセスを実行するというもので――⁉

娘の仇を討つため、修羅と化した父親による、後退不可の漆黒の復讐劇が幕を開ける‼

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