占いは「命がけ」のビジネスだった!? 古代中国が生んだ、人生の指針を示した「易経」【眠れなくなるほど面白い 図解 易経】

コラム「人はなぜ占いを必要としたのか」

人はなぜ占いを必要としたのか

 易経が生まれた古代中国は、さほど安定した社会ではありませんでした。天候は予測が難しく、洪水や干ばつは突如として人々の暮らしを脅かします。農作物の出来ひとつで生死が分かれることもあり、自然は常に大きな不安要素でした。

 さらに、国や部族の争いは日常的に起こり、昨日まで通じていた秩序や常識が、ある日突然崩れることも珍しくありません。こうした混沌に満ちる世界では、「正しい答え」をひとつ知っていれば安心できる、という考え方そのものが成り立たなかったのです。

 人々にとって重要だったのは、結果を断定することではなく、変化の兆しをどう読み取るかでした。いま動いてよいのか、それとも待つべきか。この流れは続いているのか、すでに変わりはじめているのか。そうした判断を誤れば、命や共同体の存続に直結します。

 易経は未来を言い当てる占いではなく、あくまで移ろい続ける世界のなかで自分がどこに立ち、どう振る舞うべきかを考えるための指針として生まれました。不確かな時代を生き抜く術として、人は占いを必要としたのです。それは自身を取り巻く環境の変化と向き合うための、きわめて現実的な知恵でした。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 易経』監修:湯浅邦弘

【監修者情報】
湯浅 邦弘(ゆあさ・くにひろ)
1957年、島根県生まれ。中国哲学・思想史研究者。大阪大学名誉教授、立命館大学 白川静記念東洋文字文化研究所教授。専門は中国古代思想史。先秦から漢代にかけての思想を、文献資料や新出土史料をもとに読み解く研究で知られる。著書に『中国思想の基礎知識』(青弓社)、『諸子百家 儒家・墨家・道家・法家・兵家』(中公新書)、『中国古典の生かし方――仕事と人生の質を高める60の名言』(NHK出版新書)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 易経』
監修:湯浅邦弘


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『論語』や『大学』など四書五経のひとつに数えられ、なおかつその中でも最も古くに成立した中国の書物『易経』。
現代では占いの書というイメージが強い『易経』の書ですが、占い以外にも大切な教えがたくさん記されています。それらの本質とは、「変化する社会をどう受け止め、迷いの中でどう考えるか」という視点なのです。

本書では、
「『陰』と『陽』は固定化された対立関係ではなく、行き来しながら移り変わるもの」
「八卦は実用の中で磨かれていった最小単位」という基本的な考え方から、
「立ち止まることもまた判断のひとつ」
「人は成功体験を手放せないもの」など、現代にも通ずる教えまで
難しそうで手を出しづらい『易経』をゼロからわかりやすく解説!

純粋な知識として学んでみたいという方も、今の人生に迷っているという方にもオススメな、『易経』の魅力を余すことなく知ることのできる一冊です。

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