カラスに“上司”はいない? 群れの意外なルールとは【眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話】

群れてはいますが、ボスはいません

カラスの群れには順列があります。飼育下でのハシブトガラスの研究によると、体の大きさも関係はしますが、小柄でも喧嘩っ早くて強気な個体は上位とのこと。ヨーロッパのハシボソガラスではオス・メスそれぞれに順位があるとされています。

ですが、この順位は「何かするときに、自分より下位の相手に『どけ』と言える」だけのようです。これはエサを食べるときに非常に重要で、他の個体を排除してエサにアプローチできれば、間違いなく食べることができます。下位の個体はお預けで、順番を待っているしかありません。ですが、どうやら「それだけ」なのです。

動物一般にですが、ボスが部下に何かをさせるということはほぼありません。だから、カラスの群れがボスの命令に従っているとか「お前はそこで見張りだ」などと命じられている、ということはありません。

だって、命じられても守る理由がないからです。ハシブトガラスは離合集散型の集団を持ち、すぐに他の集団に移動してしまいます。うるさいボスがいたらよそに行けばいい話ですし、命令を聞かないからと毎度、ボコボコにしていたらボスのほうも忙しくて死んでしまいます。見張りをしているように見える個体は、順位が低くて遠巻きに順番を待っているか、「行こうかな、どうしようかな」と様子を見ている個体でしょう。

群れを作ることで得られるメリット

・外敵への警戒性・対応力アップ
・エサを見つける効率がアップ
・繁殖に向けてペアを作る場になる

カラスQ&A

どうやって順位を決めるの?

喧嘩の勝敗により順位が決まる

明らかに体が大きい、気が強い個体は何もしなくても一目置かれますが、群れの中でカラスが喧嘩していることもあります。これで勝ったほうが、順位が上ということになります。順位は記憶されるので、出会うたびに喧嘩するわけではありません。

顔と声で仲間を覚えるハシブトガラス

ハシブトガラスでは、仲間の顔と声をセットにして覚えていることがわかっています。隣のケージに顔見知りの個体を入れてから仕切りをして見えないようにし、別のカラスの声を再生すると「え?声が違う?」と覗きにきます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』著:松原 始

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』
著:松原 始


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