【心の独立と協調】お互いの納得で心に柔軟性を持たせる「バウンダリーベルト」という概念【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】

バウンダリーの「ライン」と「ベルト」を使い分ける
「境界線」は安心・安全と命を守り、独立を目指す、個人主義に近い考え方です。そのため、少し冷たく感じてしまった人もいるかもしれません。
そこで本書で僕が付け加えたいのが、「境界線(バウンダリーライン)」の発展形である「バウンダリーベルト」という考え方です。
「バウンダリーベルト」は、同じゴールを目指すために、お互いに納得したうえで「境界」のラインを太くするという考えです。このベルトの範囲内であれば、お互いがいつでも自由に入ることができます。
「バウンダリーライン」が個人主義だとしたら、「バウンダリーベルト」は民主主義、協調主義と考えてもらってもよいでしょう。
みんなが納得するルールのもと、「境界線」を広げて協力し合っていく
たとえば、学校の行事で合唱コンクールを行うとき、クラスの全員で曲を選ぶことになったとします。何曲かが候補に挙がり、2曲までに絞られたけれど、話し合いではどうしても1曲にまとまらない。つまり、お互いにバラバラの「境界」を引き合っている状態ですね。
そこで、無記名の投票を行って合唱曲を決めることになりました。この無記名の投票こそが「バウンダリーベルト」です。みんなで協力しながら、誰も傷つかないルールで曲を決める。とても平和な解決法ですよね。
もうひとつ例を挙げましょう。家族の誰かが病気になったとき、ほかの家族が会社を休んだり、予定を変えたりして看病をしますよね。病気になった家族に代わって、家事を引き受けることもあるかもしれません。
これは家族全員が「病気になった家族が治るまで、みんなでできるかぎりサポートする」という目的のもと、「境界線」を広げて協力し合っていくという考えです。
「バウンダリーライン」「バウンダリーベルト」の両方を使える名人を目指して
どちらかが、誰かが不幸になるのではなくて、みんなで共通の目的に向かって協力し合う。一緒に楽しみ、分かち合い、一体感をもって歩んでいく。「バウンダリーベルト」のこの考え方は、「バウンダリーライン」が自由にデザインできる柔軟性をもっているからこそ生まれるものです。
「わたしはわたし、あなたはあなた」という考え方にとらわれてばかりでなく、ときにはお互いの一致点を見つけて、わかり合うことも大切です。
ぜひとも、「バウンダリーライン」と「バウンダリーベルト」の両方を使いこなせる名人を目指してください。
「バウンダリーライン」と「バウンダリーベルト」
バウンダリーライン
自分の安心・安全と命を守り、個としての独立を目指す考え方。

バウンダリーベルト
お互いに同意のうえで「境界線」を広げて、同じ目標・目的に向かって一緒に歩んでいく考え方。

【出典】『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ
【著者紹介】
長谷川 俊雄
白梅学園大学名誉教授、社会福祉士、精神保健福祉士、NPO 法人つながる会代表理事、social work lab MIRAI 代表。
1981年から横浜市役所の社会福祉職として現場で活動したのち、精神科クリニックのソーシャルワーカーに転職。その後、愛知県立大学での教員経験を経て、2009年に「NPO 法人つながる会」を設立。2010年から白梅学園大学に移り、教育・実践・政策提言に携わる。2023年に「social work lab MIRAI」を開設し、援助職支援や家族支援にも取り組む。「バウンダリー」についてのワークショップを各地で行っている。
【イラストレーター紹介】
高木ことみ
ゆるくてかわいいイラストを制作するイラストレーター。とくに、難しい内容を図やイラストを用いてわかりやすく伝えることが得意。見ている人に親しみを感じてもらえるような表現を心がけている。おもな作品に『ゆるゆる稼げるWeb ライティングのお仕事はじめかたBOOK』(技術評論社/表紙・本文イラスト)、『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社/表紙・本文イラスト)など。
【書誌情報】
『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』
著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ
「バウンダリー」とは、自分と相手の合意のもと「ここからは立ち入らないでね」という境界線を引くことで、「わたし」と「あなた」の安心・安全・尊厳を守る考え方です。
本書はこの境界線を引く考え方から、仕事・家庭・人づきあいの中のしんどい場面で実践できる具体的な対処法まで、あわせて紹介します。
・怒っている相手に委縮してしまう
→「hear」「listen」「ask」3つの「聞く」を使い分ける
・NOと言えない
→即答せず「持ち帰る」だけでもOK
・苦手な目上の人がいる
→相手への「評価」の置き方を変えてみる
・長い会議で人疲れする
→深呼吸や簡単な瞑想で境界線をリセット など
人間関係をもっとラクに、安心・安全にするために、「わたし」と「あなた」のあいだに心地いい境界線をつくるためのアイデアを紹介します。
「仕事や責任を押しつけられて、いつも自分ばかり損をしている」
「人の言動や気持ちに影響されて、振り回されてしまう」
「人を優先しすぎて、自分の時間や人生がすり減っていく」
「つい家族やパートナーに干渉しすぎてしまう」
「人間関係がしんどくなり、リセットを繰り返してしまう──」
こうした人間関係の悩みの根本には、バウンダリー(境界線)の混乱が隠れているかもしれません。
バウンダリーの考え方を取り入れることで、これまでとは違う視点から人間関係の問題を整理し、自分をすり減らさない選択ができるようになります。
■バウンダリーを5つのカテゴリで整理
バウンダリーを
「からだ」「感情・意志」「責任」「時間」「お金」
という5つの領域に分けて紹介。
人間関係の悩みがどの境界線の混乱から生まれているのかが見え、状況を冷静に捉えやすくなります。
■「ライン」と「ベルト」で境界線を使い分ける
境界線を細い「線(ライン)」だけでなく、状況に応じて幅をもたせた「ベルト」として捉える考え方も提案。
相手や場面によって無理なく距離を調整する方法がわかります。
境界線を引けるようになると、
・自分のからだと心を危険や消耗から守れる
・安心・安全で心地よく過ごせる
・誰にも支配されず、自分の感情や考えを大切にできる
・自分の行動や価値を、自分で決められる
ようになります。
しんどい人間関係に悩むあなたへ。
自分も相手も尊重しながら、人と関わるための一冊です。
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