大人の宗教儀礼を遊びで再現した!? かごめかごめが実は「神降ろし」の儀式だったという驚きの起源【眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話】

遊び・慣習が伝える信仰と呪術 ① 「かごめかごめ」の起源とは?

伝承遊びの中に残る宗教行為

 鬼役の子どもを1人決め、その周りを他の子どもたちが輪になって囲み、歌いながら回る「かごめかごめ」。この伝承遊び(わらべうた)は、江戸時代から続く遊びとして、民俗学や音楽学など多角的な視点から研究されています。

 東北地方を中心とした地域には、「羽山ごもり」「地蔵憑け」などと呼ばれる「かごめかごめ」の原型とされる宗教行為が確認されています。祠などの前に人びとが集まって中央に座らせた人を取り囲むと、囲まれた人に精霊やカミが降り、作物の豊凶などの託宣が行われるというものです。これは大人が行う儀礼なのですが、子どもたちがそれを真似て遊びにしたのが「かごめかごめ」だと考えられています。このように、かつて存在した宗教行為が、子どもの遊びに痕跡を残している事例は他にも多くあります。

 「かごめかごめ」の歌詞は、「かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ?」というものがよく知られています。「かごめ」は、「かがめ」の意味で、鬼役の子にかがむように言っているとする説が有力です。それ以降の歌詞についても、さまざまな解釈がありますが、深読みはあまり意味がないでしょう。子どもたちは、連想や思いつきでどんどん新しい言葉を重ねて行きます。そこに一貫する論理はないと見るべきです。

「伝承遊び」の代表例

「伝承遊び」とは?

古くから地域や集団の中で子どもたちによって自発的に受け継がれてきた遊びを「伝承遊び」という。「かごめかごめ」のような伝承遊びには、かつて大人がやっていた宗教行為の痕跡が残されている場合がある。

北尾政美(鍬形蕙斎)の絵手本『諸職画譜』(国立国会図書館蔵)に描かれた子どもたちの遊び。中央に「かごめかごめ」をする子どもたちが描かれている。

指先を使う室内遊び

折り紙、あやとり、おはじき、福笑い、すごろく、かるたなど。

鬼遊び・集団遊び

鬼ごっこ、かくれんぼ、缶蹴り、花いちもんめ、かごめかごめ、だるまさんがころんだなど。

わらべうた・あやし遊び

「なべなべそこぬけ」「通りゃんせ」「あんたがたどこさ」「一本橋こちょこちょ」など。

道具を使う遊び

けん玉、コマ回し、竹とんぼ、メンコ、お手玉、ビー玉、凧揚げ、羽子板、まり突きなど。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』監修:島村恭則

【監修者紹介】
島村恭則(しまむら・たかのり)
民俗学者。関西学院大学社会学部長・教授。1967(昭和42)年、東京都生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。文学博士(筑波大学)。国立歴史民俗博物館教官、韓国・翰林大学校客員教授、東京大学客員教授などを歴任。日本各地で民俗学調査を行うとともに、韓国・中国での調査・研究も行う。
近年は、世界民俗学史をふまえた民俗学理論の研究、とくに民俗学を国際的・学際的な「ヴァナキュラー文化研究」として再編成する議論を展開している。
著書に『みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?』(平凡社)、『民俗学を生きる ヴァナキュラー研究への道』(晃洋書房)、『これからの時代を生き抜くための民俗学入門』(辰巳出版)、『昔話の民俗学入門 民間伝承の秘密を読み解く』(創元社)、編著に『現代民俗学入門 身近な風習の秘密を解き明かす』(創元社)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』
監修:島村恭則


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現代の社会を知る上でも重要な学問ともいわれる「民俗学」。
そもそも「民俗学」とは「民」(=人々)について「俗」(=ヴァナキュラー)の視点で研究する学問であり、日本においては、春夏秋冬の年中行事や風習から、身近な衣食住の伝統や習慣など、都市や地方のあらゆる「文化・もの」について、歴史や謂われ、理由などが存在する。
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