設定は語らない。編集者が見ている“世界観が伝わる小説”の条件――賞を勝ち獲る小説の書き方vol.10

出典:新刊『プロの編集者&小説家が教えるクリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』より

はじめに(リード文)

小説家、ラノベ作家、シナリオライターなどになるべく、日々創作活動に打ち込むクリエイターたち。その夢の登竜門として、さまざまな出版社や小説投稿サイトで開催されるコンテストでの受賞を目指している方も多いのではないでしょうか。しかし、最終審査まで残り、その上受賞する作品は一握り。そうなると「面白い作品なのに、選考が通らない!」という悩みもおのずと出てくると思います。その悩みの突破口となるのは “編集目線”。

日本文芸社人気シリーズの最新刊『プロの編集者&小説家が教えるクリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』では、その“編集目線”を小説の書き方に取り入れた一冊。今まで何千何万もの作品に目を通してきた小説投稿サイト『Nola』の編集者たちとプロの小説家である秀島迅氏がタッグを組み、読み手と書き手の二つの視点から、普段は明かさない小説を書くために絶対必要なスキルやポイントを徹底解説。

本記事は、書籍の本文の一部をWeb記事用にアレンジして紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください!

独創性の高い世界観は「ルールの一貫性」で成立する

ファンタジー系・SF系の物語では、魔法や超能力や未来的ガジェットといった特殊なパワーやアイテムが登場します。

それ自体は悪いことではありません。
独創的なアイデアは編集者や審査員にとって加点対象であり、ストーリーを動かす機動力となります。

ただし「フィクションだから何でもあり」という考え方は通用しません。
読者はあくまで現実世界を基準として物語を受け止めます。
理にかなわない強引な世界観の設定は、冒頭の数ページを読んだだけで違和感を与えてしまいます。

世界観は、何が可能か、何が許されるか、何が正しいかといったルールを一貫して設定することで、初めてリアリティを持って機能します。
ルールがぶれてしまうと、キャラクターの行動もぶれ、物語全体の説得力が失われます。

世界は「物理・社会・倫理」の3層でできている

世界設定では、設定量の多さや独創性だけでなく、ルールが一貫しているかが重要です。
物語世界は、物理・社会・倫理の3層が噛み合って初めて安定します。

物理は魔法や技術、身体能力など「何が可能か」。
社会は身分制度や法律、文化や慣習など「何が許され、何が禁じられているか」。
倫理はキャラクターが大切にしている価値観や世界の正しさの基準など「何が正しいとされるか」です。

たとえば、超常的な力が当たり前のように存在する世界であっても、社会的制約や倫理的判断が伴っていなければ、その世界は都合よく見えてしまいます。
どの場面でもルールがぶれない強固な世界が理想です。

人物の行動や選択に迷いが生じない必然的な設計にすることは、作者のためであり、読者を白けさせないためでもあります。

世界観を伝えるために説明しすぎていないか

物語を動かすとは、登場人物を動かすことです。

そして登場人物を動かす最大の武器は会話のやり取りです。
リーダビリティを向上させ、キャラクター造形を深める会話は、小説において欠かせない要素です。

一方で、地の文による設定説明は物語の動きを止めてしまいます。
説明文で世界観を一気に提示すると、読者は理解よりも負担を先に感じてしまいます。
どれほど緻密な設定でも、説明に頼った瞬間、物語は作り物のように見えてしまいます。

たとえば「この国では帯剣が禁じられている」と説明するより、主人公が剣を隠して入城し、兵の視線に緊張する場面を描くほうが、規則も空気も自然に伝わります。
設定は知識として与えるのではなく、体験として理解させることが重要です。

ここで大切なのは、削るのは情報ではなく説明だということです。
行動と反応で成立する場面は、読者の理解負荷を下げ、自然に世界を受け取らせます。
編集者が見ているのは、世界観が説明ではなく“体験として伝わっているか”という点です。

世界は語るものではなく、動かして示すものです。
その設計ができているかどうかが、作品の完成度を大きく左右します。

今回紹介した本書の参考ページ

今回の記事は、以下の本文ページから抜粋してご紹介しました。
本書は、見開きでとても分かりやすい、構成になっています。

日本文芸社のクリエイターシリーズ最新刊『プロの編集者&小説家が教えるクリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』

読み手と書き手のプロたちがタッグを組んで、賞を勝ち獲るための小説の書き方本。

ライトノベル編集のプロが普段は絶対に明かさない、コンテストで常にチェックしている絶対必要なポイントを徹底解説。編集者のポイントを再現する文章の書き手は、クリエイターシリーズすべての著者を務めるプロの小説家、秀島迅氏。

本書は、物語・シナリオを書くための構想の仕方を教えるだけでなく、編集者が「あっ」と驚く文章構成や、プロなら絶対に押さえておきたい書き方の基本メソッドに加え、つい書き手がやってしまうNG例も実際に例文を読みながら学べます。

小説の面白さには自信があるけど、なぜだか賞は獲れない……という人に向けて、一段階上の技術を習得できる超実用的な内容。ぜひ、Amazonでチェックしてみてください!

https://www.amazon.co.jp/dp/4537223758

【著者紹介】
秀島 迅(ひでしま じん)
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞 (KADOKAWA)から選出され、さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家 として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝 などの執筆も行っている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカ の篇』二作同時発売(講談社)、『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑 上級編』(日本文芸社) などがある。また、コピーライターや映像作家としての顔を持ち、企業CM制作のシナ リオライティングなど、現在も月10本以上手掛けている。

Nola編集部(のらへんしゅうぶ)
創作プラットフォーム「Nola」を運営する編集チーム。日々多数の投稿原稿を審査・講評し、企画立案やコンテスト運営を通じて新人作家の育成に携わる。構成・文体・読者設計の観点から作品を分析し、読者に届く物語づくりを実践的に支援している。本書では、現場で培った編集視点をもとに、小説執筆における具体的な改善ポイントを監修。

日本文芸社のクリエイターシリーズ

小説家、ラノベ作家、漫画家、シナリオライター、脚本家、SNS投稿…etc
読むだけで、頭ひとつ抜ける!作品のクオリティが格段にあがる!

普段プロの小説家が秘密にしている実践的な経験をもとにした創作セオリーがつまった、すべてのクリエイターに役立つ書籍シリーズ!!
「語彙」テクニックだけでなく、中世ヨーロッパの文化、シナリオに必要な「人物・性格」「能力」「場面」「職業」設定、などなど即戦力となるノウハウをあますところなく解説!

https://sp.nihonbungeisha.co.jp/series/creators

【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
秀島 迅 (著), Nola編集部 (監修)


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☆☆大人気クリエイターシリーズ最新刊☆☆

小説編集者×小説家
読み手と書き手のプロたちがタッグを組んで
賞を勝ち獲るための小説の書き方を教えます!

今まで何千何万もの作品に目を通してきた小説投稿サイト『Nola』の編集者たち。
数多くの出版社とのコンテストを開催し、多くの作品を世に生み出してきました。

本書では、そんなライトノベル編集のプロが普段は絶対に明かさない、
コンテストで常にチェックしている絶対必要なポイントを徹底解説します。
どうしても文章を書く際は、自分の書きたいことが飽和して読みづらくなりがちですが、
読み手側の視点を取り入れることで、作品の完成度を高めることができます。

そんな編集者のポイントを再現する文章の書き手は、
クリエイターシリーズすべての著者を務めるプロの小説家、秀島迅氏。
編集者が「あっ」と驚く文章構成や、プロなら絶対に押さえておきたい書き方の基本メソッドに加え、
つい書き手がやってしまうNG例も実際に例文を読みながら学べます。

そのほか、本書は物語・シナリオを書くための構想の仕方を教えるだけでなく、
「感情をうまく伝える余白・改行の使い方」
「音で残るタイトルは、読者の頭に染みつく」……etc.
プロの小説家だけが知っている、誰でも即マネできる技法を大公開!

小説の面白さには自信があるけど、なぜだか賞は獲れない……という人に向けて、
プロの編集者と小説家による一段階上の技術を習得できる超実用的な小説の書き方本です。

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