【最後の秘境】映画のモデルにもなった「カナイマ国立公園」地球の歴史が眠るロスト・ワールドの正体とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産】

10の基準で読み解く「一度は行きたい世界遺産」

10の登録基準に沿って代表的な世界遺産を紹介。景観だけではない、真の魅力が見えてきます。


登録基準(ⅷ)地球の歴史の主要段階を示す遺産

【カナイマ国立公園】地の果てのロスト・ワールド?

 「カナイマ国立公園」があるのは、南米ベネズエラ南東部のギアナ高地に広がる、熱帯雨林と草原に覆われた約300万ヘクタールの広大な自然保護区です。断崖が連なる特異な地形と、手つかずの森が広く残ることから、人類未踏の地が多く「最後の秘境」とも呼ばれています。

 公園の約65%を占めるのは、先住民から「テプイ」と呼ばれる標高2000m以上のテーブルマウンテン(卓状台地)です。およそ17億年前の先カンブリア時代に形成された岩盤が、長年の風雨で削られ、硬い部分が卓状に残ったものです。公園内に100以上ある山々の山頂部は周囲から隔絶され、固有種を含む独自の生態系を育んできました。そのため、山ごとに異なる自然環境が見られる点も特徴です。

 公園内最高峰となる標高2810mのロライマ山は、コナン・ドイルがSF小説『ロスト・ワールド』の着想を得た場所ともいわれています。他にも映画やゲームなど創作の舞台にたびたび選ばれてきたのは、この場所が地球の歴史と未知の自然を同時に感じさせる場所だからかもしれません。壮大な地形と固有の生態系が織りなす景観は、地球の歴史と生命の多様性を今に伝えています。

【THINK!】秘境の価値は「行けないこと」にある?

ここがスゴイ!認定ポイント プレート変動の影響を受けなかった「空中の島」

 公園一帯は、かつて五大陸が誕生したプレート変動の際、変動軸の上にあったため、ほとんど影響を受けなかったと考えられています。そのため、約17億年前の地層がそのまま残り、絶壁のテーブルマウンテンの頂上は隔絶されました。頂上では食虫植物ヘリアンフォラや、泳ぐことのできないカエルの仲間オリオフリネラなど、独自に進化した動植物が見られます。

先住民族にとっての聖地

 テプイとは、先住民族であるペモン族の言葉で「神の家」という意味です。ペモン族はテプイを、「マワリ」と呼ばれる精霊が宿る神聖な山として崇めてきました。暮らしと信仰の中心にあるテプイは、彼らにとって文化と精神性を支える象徴的な存在といえます。

水が霧になる!?「滝壺が存在しない滝」

 カナイマ国立公園内にあるテプイのひとつ、アウヤンテプイ山には、世界最大の落差で知られるアンヘルの滝、通称「エンジェル・フォール」があります。この名称は発見者であるアメリカの探検家ジミー・エンジェルに由来します。落差は979mにも達し、落下中に水が霧状に砕けて風に流されたり、蒸発したりすることで滝壺が存在しないのが特徴です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』監修:宮澤 光 / イラスト:どくだみ三銃士

【監修者紹介】
宮澤 光(みやざわ・ひかる)
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員。北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。跡見学園女子大学非常勤講師。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』
監修:宮澤 光


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