「子どもは1ミリも変えない」という視点が大切。発達が気になる子どもたちのための認知遊びの目的

認知遊びの目的

☑子どもを観察すること
☑困った行動を認知の側面から捉えなおす
☑保護者への伝え方と連携

認知遊びの目的を整理する

 認知遊びの目的は、子どもを「より標準的にする」ことではありません。大切にしたいのは、「子どもは1ミリも変えない」という視点です。

 発達が気になる子どもたちは、情報を受け取るルートや理解の仕方に、その子ならではの特徴があるといえます。その特徴を「変える」のではなく、「この子はこういうふうに世界を捉えているんだ」と理解し、そのルートに合わせて遊びや環境を選び直すことが支援になります。そのため、おとなが子どもの状態をどう捉えるかが重要で、そこからスタートすることになります。遊びを通してその子の理解を深めていく作業といえるでしょう。

 「子どもは変えず、おとなの関わりや環境のつくり方を工夫する」ということを忘れずに、遊びを通して発達を支えるという視点。この2つをちょうどよく両立させることを目指しましょう。

「安心して試せる場」としての遊び

 子どもが安心して試行錯誤できる環境があるほど、認知発達は伸びやすくなります。

 「失敗したらどうしよう」「また怒られるかもしれない」と感じていると、子どもは挑戦から遠ざかってしまいます。だからこそ遊びは、“うまくいかなくても安心してやり直せる場所”であることが重要です。途中でやめてもいい、見ているだけの参加でもいい、ペースが遅くても気にしなくていい。こうした余白があると、子どもは自然と「やってみよう」という気持ちになります。

 もうひとつ大切なのは、子どものなかにすでに芽生えつつある発達のサインをとらえることです。

芽生えを捉えるポイント

⚫視線の向きが変わった(ちらっと道具を見る、他の子の動きに注目する)
⚫手が伸びかける(触ろうとするが戻す、近づいてみるだけ)
⚫行動が 1ステップ増える(もつ→振ってみる、並べる→崩してみる)
⚫「やってみたい」の気配(体の向きが寄る・少し待っている・真似しようとする)
⚫諦め方が変わる(すぐに投げ出すのではなく“うーん”と考える姿が出る)

 こうした小さな芽生えは、子ども自身が示す「次の発達ステップ」のサインです。この芽を丁寧に拾い、遊びのなかにちょうどよい「挑戦の種」としてそっと混ぜ込んでいく。子どもが安心して試行錯誤できる環境があるほど、認知発達は伸びやすくなります。

アタッチメントと認知遊び

 乳幼児期にとって、また学童期においても安心できるおとなとの関係は、どんな遊びにも勝る大切な基盤です。

 抱っこされながら世界を見る、人の顔を見て笑い返す、同じ動作を何度もくり返す――これらは認知発達の「はじまり」です。

 発達が気になる子どものなかには、感覚が入りすぎたり、コミュニケーションのリズムが合いにくかったりして、遊びに入りにくい子もいます。そんなとき、大切なのは「遊びの内容はもとよりおとなとの関係性」です。

 「この先生となら安心」「この人と一緒ならやってみてもいい」という感覚が育つと、新しい遊びにも踏み出しやすくなります。

7つの領域は「循環する輪」

 実際の生活では、知覚、注意・処理、記憶、言語思考、実行機能、社会的認知、メタ認知が同時に動いています。どこかひとつが苦手でも、別の領域が得意で支えていることもあります。

 おとなが見るべきは、「どこが弱いか」よりも、
「どの領域が得意で、そこからどう支えられそうか」
「どの部分でつまずきやすいか」
という点です。

 7つの領域を道具として使いながら、子どもが“今の力で入りやすい”遊びや環境を選びましょう。

【出典】『発達が気になる子の認知遊び』著:藤原里美

【著者情報】
藤原里美(ふじわら・さとみ)
一般社団法人チャイルドフッド・ラボ 代表理事/臨床発達心理士/保育士
公立保育園・東京都立梅ヶ丘病院・東京都立小児総合医療センター・明星大学非常勤講師を経て現職。
発達障害のある子どもの療育、家族支援を行うとともに、園の巡回や発達支援の研修など、支援者育成にも力を注ぐ。「子どもを変えずに、子どもの周りの世界を変える」支援方法により、現場や家庭で実現可能な実践方法を発信している。

【書誌情報】
『発達が気になる子の認知遊び』
著:藤原里美


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発達が気になる子といっしょに!
楽しい遊びを通して、子ども自身が困っていることの解決をめざす大人気シリーズ。

認知発達とは、見る・聞く・記憶する・覚える・考える・予測するなど、情報をキャッチし、物事を理解して考える力が育っていく過程を指します。

わたしたちは日常のなかで多くの情報を受け取り、その情報をあたまのなかで「整理して」、「次にどうするかを判断」しています。
認知発達はこの一連の過程を支える基盤であり、学習だけでなく、生活全般や人との関わり方に深く関係しています。

・遊びが続きにくい
・集団遊びに入りづらい
・指示が入りにくい
・切り替えが難しい
・ルールのある遊びが苦手 など発達が気になる子にとって、
認知発達を育む遊びは特に重要です。

本書で紹介する150個の「認知発達遊び」は、日常のなかで遊び、関わりながら、
その子のペースで認知の土台を育てていくためものです。
認知発達をつぎの7つの領域に分けて解説し、それぞれの領域を育てる具体的な遊びの提案をしています。
1知覚
2注意・処理
3記憶
4言語思考
5実行機能
6社会的認知
7メタ認知

診断の有無にかかわらず支援したいとき、「教える」より「育てる」関わりを大切にしたい場面などで、
それぞれの発達段階にあわせながら、無理なく取り入れられる遊びを紹介します。

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