3分以内の楽曲、90分未満の映画…タイパ時代のトレンドから読み解く、現代小説に求められる賞を勝ち獲る小説の書き方とは

\編集者の目に留まる物語創作のセオリー/

面白い物語の創作には、構成力が不可欠です。どこに山場を作るかという感情の設計から、読者が惹きつけられる冒頭の設計、すべてを設計していくのが構成です。


“起承転結”と“三幕構成”が創作の基本

起承転結や三幕構成は、物語を型にはめるための理論ではありません。編集者が見ているのは、それらが「読者の感情の流れ」を支えているかどうかです。

要点

  • 構成は感情の流れを整えるためのフレーム
  • 起承転結と三幕構成を使い分ける
  • 型そのものより「構成が自然か」が評価対象

構成する目的は読者を迷わせないこと

 起承転結や三幕構成は、「読者が感情的につまずかず読める構成」のための便利なフレームであり、守ることが目的の型ではありません。重要なのは、起で状況を理解し、承で関心が生まれ、転で感情が揺れ、結で意味が回収されているかどうかです

 構成が弱い原稿では、出来事は起きているのに「話が進んだ感じ」が出ません。これは事件の量ではなく、感情の配置が整理されていないことが原因です。三幕構成なら「設定→衝突→決着」、起承転結なら4つの段階で、どこに感情の山を置くのかを意識するだけで、読み味は安定します

 編集者は、構成が「読みやすい流れ」を生んでいるかを見ます。構成理論は、あくまで読者を迷わせないための案内板です。自分の物語に合わせて調整し、物語に感情の波の設計ができていれば、それで十分なのです。

賞応募の作品は序盤の20枚が勝負

 時代の流れとともに、創作作品に対する受け手の求める形が大きく変化している点を読み取りましょう。

 たとえば米英のポップスチャートでは3分を切る短い楽曲が主流となり、ネット系配給の映画では90分未満の作品が増加傾向にあります。ボリュームが軽くなれば、導入からの早い盛り上がりが求められるのは当然の流れです。これは小説にもいえること。

 起承転結と三幕構成は創作の基本であるものの、その概念は古く、令和世代の読者ニーズに応えるにはアレンジが必要です

 つまり、序盤から読者の感情を鷲づかみにするクイックな展開を強く意識すべきです。とりわけ賞応募の作品が一次あるいは二次選考を通過するには、序盤20枚が勝負といわれるほど。中盤以降で盛り上がる作品は本選考に進む前に、下読みという工程で“落選”の決定が下されてしまうのです。

本の厚さや体裁と密度で時代の違いがわかる

 【出典】『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ

【著者紹介】
秀島迅
青山学院大学経済学部卒。2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞(KADOKAWA)から選出され、『さよなら、君のいない海』で単行本デビュー。小説家として文芸誌に執筆活動をしながら、芸能人や著名人のインタビュー、著述書、自伝などの執筆も行なっている。近著に長編青春小説『その一秒先を信じて シロの篇/アカの篇』二作同時発売(講談社)、語彙力図鑑シリーズなど著書多数。また、コピーライターや映像作家としての顔も持ち、企業CM制作を現在も月10本以上手がけている。

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【書誌情報】
『プロの編集者&小説家が教える クリエイターのための賞を勝ち獲る小説の書き方』
著:秀島迅/監修:Nola編集部/イラスト:真崎なこ


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