なぜ子どもは突然怒る?不安やイライラは体が守ろうとしているサイン!ポリヴェーガル理論に見る自律神経の働き【「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論】

心と体を守るために働く「3つの自律神経」

 ポリヴェーガルは「多重の迷走神経」という意味を持ちます。それまでひとつの働きをしていると考えられていた迷走神経が、じつはさまざまな働きをしているという考え方から、この名前がつけられました。副交感神経の大部分は迷走神経で、興奮や緊張をゆるめ、ほどよい覚醒やリラックスをもたらす働きをもっています。ポリヴェーガル理論では、3つの自律神経が次のような働きをしていると考えています。

交感神経:興奮や緊張をつかさどるアクセルの役割
背側迷走神経:興奮や緊張をゆるめるブレーキの役割
腹側迷走神経:誰かとつながって安心や楽しさを感じる、おだやかなブレーキの役割

 新しいおもちゃで遊ぶときは、交感神経が働いてドキドキワクワク。家族とおでかけして疲れたときは、ひとりで本を読んで背側迷走神経をおだやかに働かせてリラックス。なかよしのお友達とおしゃべりしているときは、腹側迷走神経が働いて、心地いい気分に。

 こんなふうに、3つの自律神経が代わる代わる働いて、自動的に心身の状態をちょうどいいバランスに保ってくれているのです。

3つの自律神経はアクセルとブレーキの役割を果たす

イラスト:なか

3つの自律神経は、状況に応じてアクセル・ブレーキを操ることで、わたしたちの心身をちょうどいい状態に保ってくれています。

興奮や緊張をつかさどるアクセル役「交感神経」

 交感神経は脊髄から体へと伸び、重要な臓器に分布しています。興奮や緊張をつかさどるアクセルのような役割を果たしており、ほどよく働いているときは、心地いいドキドキ感をもたらしてくれます。

 心身に危険が迫ると、交感神経はアクセルを強く踏みこみ、「戦う」もしくは「逃げる」モードに移ります。「戦う」「逃げる」は正反対に見えますが、どちらも危険から心身を守るための行動です。

 「戦う」モードが高まるにつれて、感情はイライラ、怒る、激怒と激しさを増していきます。一方、戦えないと判断すると「逃げる」モードに移行し、その強さによって、感情は心配、不安、パニックへと変化していきます。

交感神経の役割

興奮や緊張をつかさどるアクセル役。ほどよく働いているときは、心地いいドキドキ感をもたらしてくれます。遅刻しそうで焦っているときなどにも、交感神経の働きは高まっています。

交感神経が強く働いていると

◯ 表情がこわばっている
◯ まくしたてるようにしゃべる
◯ 声がかん高い、金切り声
◯ 姿勢が前のめりになる
◯ 呼吸が浅く速い
◯ 視線が1点に集中する

【出典】『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』著:浅井咲子 / イラスト:なか

【著者紹介】
浅井 咲子
公認心理師、神経セラピスト。立教大学卒業後、外務省在外公館派遣員として在英国日本国大使館勤務。その後、米国ジョン・F・ケネディ大学院にて、カウンセリング心理学の修士課程(身体心理学専攻)を修了。オークランドの地域カウンセリングセンターにて研修を行う。帰国後、教育センターや企業内で相談員として勤務。2008 年、セラピールーム「アート・オブ・セラピー」を設立し、自己調整とレジリエンスのある生活を提案し続けている。
著書に『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社)、『不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方』(大和出版)、『「今ここ」神経系エクササイズ』『「いごこち」神経系アプローチ』(梨の木舎)、翻訳書に『子どものトラウマ・セラピー』『トラウマによる解離からの回復』(国書刊行会)、『レジリエンスを育む』『発達性トラウマ治癒のための実践ガイド』(岩崎学術出版社)など。
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ブログ: https://ameblo.jp/artoftherapy/
HP「ART of therapy」: https://assakijp.wixsite.com/artoftherapy/profile

【書誌情報】
『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』
著:浅井咲子 / イラスト:なか


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いつも不安にふりまわされて、
シクシク、くよくよ、イライラ……
「うちの子、もしかして不安になりやすい?」
「人より繊細なのかな?」と思ったら
ぜひ本書の「ポリヴェーガル理論」にもとづくワークを試してみてください。

ポリヴェーガル理論は、ステファン・ポージェス博士が提唱した神経理論で、
自律神経を「交感神経」と「2つの副交感神経(背側迷走神経・腹側迷走神経)」の3つとして捉えます。

・人の表情や声色、変化によく気がつく
・大事なイベントの前にネガティブなイメージをしがち
・登園時、登校時はこれから過ごす時間を考えて泣いてしまう
・にぎやかな人の近くにいると、いつもイライラ
こうした「不安ぐせ」は性格から生まれるものではなく、
心と体を守ろうとする安全システムが働くことで生まれるもの。

本書では、ポリヴェーガル理論にもとづき、
子どもの「不安ぐせ」のしくみをやさしく解説しながら、
親子でできるシンプルなワークを紹介します。

不安やストレスを感じても
「わたしは大丈夫」「なんとかなる」と思える力――“レジリエンス”を、子どもと一緒に育てていきます。
がんばって変えようとしなくて大丈夫。
安心は、親子の関わりのなかで、少しずつ育っていきます。

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