人が不安になるのは「ニューロセプション」が原因!自律神経が体を守るプロセスとは

子どもの不安に寄り添う「ポリヴェーガル理論」

子どもが不安になるメカニズム

 わたしたちはどうして不安になるのか、考えたことはありますか?

 人の全身に張り巡らされた神経は、体の外側と内側の変化を敏感に察知し、それらの情報をもとに、無意識のうちに「今は安全? それとも危険?」とチェックし続けています。ポリヴェーガル理論では、この検知システムを「ニューロセプション」と呼んでいます。

 ニューロセプションが危険と判断したとき、人は不安になります。イライラしたり落ち着かなくなったりおしゃべりになったりと、不安の表れ方は様々ですが、根っこはすべて同じ。検知システムの判断を受けて、考えるより先に、体が反応した結果なのです。

人が不安になるとき、体のなかで起きていること

 安全か危険かを判断するニューロセプションは、さまざまな感覚を受け持つ7つの神経「セプション7」のリーダーと呼べる存在。残る6人のセプションは、痛みや温度、匂いなどの変化を敏感に感じ取り、ニューロセプションに伝える役割を果たしています

 たとえば、子どもが明日の用意をしているときに、気分が落ちこみがちになる日があるとします。そんなとき、体のなかではどんなことが起きているのでしょう? ちょっとのぞいてみましょう。

 ある日、子どもは友達や先生とうまくいっていないと感じます。そのことを考えるときに、体の内側の変化を感じ取る「インテロセプション」は心臓がドキドキしていることを察知。体の温度の変化を感じ取る「サーモセプション」は、少し体が汗ばんでいることを捉えます。そして、自分の位置や力の入れ具合を感じ取る「プロプリオセプション」は、子どもの動きがぎこちないことに気づきます。6人のセプションによって、こうした情報がリーダーの「ニューロセプション」のもとに集まりました。

 ニューロセプションは「この子に危険が迫っているかも」と判断し、自律神経に警報を送ります。それを受けて、すぐに動いたのは交感神経。交感神経が働きすぎたことで、子どもは不安になり、うずくまり動けなくなってしまいました。

 体の内外での変化を感じ取り、危険か安全かを判断するセプション7と、その判断をもとに働く3つの自律神経。カーレースにたとえれば、セプション7は車の具合をチェックするメカニック担当で、自律神経は状況に対応して走るレーサーのようなもの。両者は切っても切れない関係にあります。

 わたしたちの心身を守るため、体のなかで7人のメカニックと3人のレーサーが頑張っていると考えると、なんだか愛着が湧いてきますよね。 

ニューロセプションが危険と判断すると人は不安になる

イラスト:なか

さまざまな感覚を担うセプション7は、体の内外の変化を敏感に察知し、リーダーのニューロセプションに伝達。ニューロセプションは情報をもとに安全か危険かを判断し、自律神経に伝えます。不安は、この神経の検知システムが危険と判断したときに、無意識に起きる反応と考えられます。


【出典】『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』著:浅井咲子 / イラスト:なか

【著者紹介】
浅井 咲子
公認心理師、神経セラピスト。立教大学卒業後、外務省在外公館派遣員として在英国日本国大使館勤務。その後、米国ジョン・F・ケネディ大学院にて、カウンセリング心理学の修士課程(身体心理学専攻)を修了。オークランドの地域カウンセリングセンターにて研修を行う。帰国後、教育センターや企業内で相談員として勤務。2008 年、セラピールーム「アート・オブ・セラピー」を設立し、自己調整とレジリエンスのある生活を提案し続けている。
著書に『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社)、『不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方』(大和出版)、『「今ここ」神経系エクササイズ』『「いごこち」神経系アプローチ』(梨の木舎)、翻訳書に『子どものトラウマ・セラピー』『トラウマによる解離からの回復』(国書刊行会)、『レジリエンスを育む』『発達性トラウマ治癒のための実践ガイド』(岩崎学術出版社)など。
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ブログ: https://ameblo.jp/artoftherapy/
HP「ART of therapy」: https://assakijp.wixsite.com/artoftherapy/profile

【書誌情報】
『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』
著:浅井咲子 / イラスト:なか


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3つの自律神経を味方につけて
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いつも不安にふりまわされて、
シクシク、くよくよ、イライラ……
「うちの子、もしかして不安になりやすい?」
「人より繊細なのかな?」と思ったら
ぜひ本書の「ポリヴェーガル理論」にもとづくワークを試してみてください。

ポリヴェーガル理論は、ステファン・ポージェス博士が提唱した神経理論で、
自律神経を「交感神経」と「2つの副交感神経(背側迷走神経・腹側迷走神経)」の3つとして捉えます。

・人の表情や声色、変化によく気がつく
・大事なイベントの前にネガティブなイメージをしがち
・登園時、登校時はこれから過ごす時間を考えて泣いてしまう
・にぎやかな人の近くにいると、いつもイライラ
こうした「不安ぐせ」は性格から生まれるものではなく、
心と体を守ろうとする安全システムが働くことで生まれるもの。

本書では、ポリヴェーガル理論にもとづき、
子どもの「不安ぐせ」のしくみをやさしく解説しながら、
親子でできるシンプルなワークを紹介します。

不安やストレスを感じても
「わたしは大丈夫」「なんとかなる」と思える力――“レジリエンス”を、子どもと一緒に育てていきます。
がんばって変えようとしなくて大丈夫。
安心は、親子の関わりのなかで、少しずつ育っていきます。

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