子どもの心と体を守る7つの感覚システム「セプション7」の基礎知識【「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論】

安全か危険かを判断する見張り役「セプション7」

 暑いと感じたら上着を脱ぎ、おなかがすいたと感じたら食事をする。こんなふうに、人はさまざまな感覚を通じて、体の内外の状況を察知しています。裏返せば、さまざまな感覚があるからこそ、人は状況の変化に対応し、日々を生きることができるのです。

 こうした感覚を受けもっているのが、ニューロセプションをリーダーとする7つのセプション「セプション7」です。

 ここでは、それぞれのセプションが体のどの場所にいて、どんな働きをしているのかを見ていきましょう。

「セプション7」のメンバーたち

①ニューロセプション 

イラスト:なか

セプション7のリーダー。6つのセプションを通じて、体のなかや外の世界のさまざまな情報を集め、今は安全なのか危険なのかを判断しています。

②ノーシセプション

イラスト:なか

痛みや刺激、不快さを感じ取ります。

③サーモセプション

イラスト:なか

体の温度の変化を察知します。

④エクステロセプション

イラスト:なか

見る、聞く、触れる、嗅ぐ、味わうという5つの感覚、いわゆる五感を受けもちます。

⑤プロプリオセプション

イラスト:なか

自分の位置や力の入れ具合などを教えてくれます。

⑥エクイリブリオセプション

イラスト:なか

体のバランスや動きを感じ取ります。

⑦インテロセプション

イラスト:なか

空腹やのどの渇きなど、体の内側で起きていることを教えてくれます。

①〜③セプションを紹介!

「安全か危険かを判断するリーダー」①ニューロセプション

① ニューロセプション

イラスト:なか

セプション7のリーダー。ほかのメンバーから心身の状態に関する情報を集め、今は安全か危険かを判断して、自律神経に伝えます。

 ポリヴェーガル理論では、わたしたちの体と脳にある、「今は安全? それとも危険? それとも生命への脅威?」とつねにチェックし続ける仕組みをニューロセプションと呼んでいます。これはポージェス博士の造語で、他のメンバーのように特定の神経ではありません。いわば、わたしたちを守る神経の検知システムの通称です。

 ニューロセプションは、ほかの6つのセプションから伝えられる情報をもとに、安全か危険かを判断します。

 ニューロセプションが「危険かも」と判断しやすくなっていると、子どもはいつも緊張したり警戒したりする状態になり、不安ぐせにつながることもあります。しかし、身近なおとなと一緒に安心を体験する「協働調整」によって、「安全だよ」「だいじょうぶだよ」と合図を送り続けることで神経基盤に戻ってきやすくなり、ニューロセプションが的確な査定をし始めれば、不安ぐせをやわらげることができます。

「痛みや刺激にいち早く気づく」②ノーシセプション

② ノーシセプション

イラスト:なか

痛みや強すぎる刺激をいち早く察知して、「危険かもしれない」という情報をリーダーに伝えます。

 ノーシセプションは、痛みや強すぎる刺激、不快感を察知する感覚。侵害受容とも呼ばれます。

 転んでひざをすりむいたときに「痛い」と泣いたり、火にかけた鍋を触って思わず手を引っ込めたりするのは、ノーシセプションが働いている証拠です。痛みや熱さなどを通じて、わたしたちの体を危険から守ってくれているのです。

「暑さと寒さを感じ取る」③サーモセプション

③ サーモセプション

イラスト:なか

暑い、寒い、温かい、ひんやりするなど、体の表面や内側の温度に関する変化に気づく感覚です。

 体の温度に関する変化を感じ取るサーモセプションは、体のあちこちにあり、居場所によって少し役割が異なります。

 皮膚にあるサーモセプションのセンサーは、気温や風の強さ、着ている服の暑さなどを感じ取ります。寒い日に、わたしたちが「寒いから手袋をしよう」と判断できるのは、この感覚のおかげです。

 サーモセプションは内臓のまわりや血管、脳の温度調節中枢などにセンサーがあり、体の深部の体温を感じ取って、冷えすぎたり暑すぎたりする状態になるのを防いでいます。

 また、自律神経とも密接につながっているので、「暑い」「寒い」という感覚はわたしたちの気持ちにも大きく影響し、イライラしたり落ち着きがなくなったりといった様子が見られることもあります。


【出典】『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』著:浅井咲子 / イラスト:なか

【著者紹介】
浅井 咲子
公認心理師、神経セラピスト。立教大学卒業後、外務省在外公館派遣員として在英国日本国大使館勤務。その後、米国ジョン・F・ケネディ大学院にて、カウンセリング心理学の修士課程(身体心理学専攻)を修了。オークランドの地域カウンセリングセンターにて研修を行う。帰国後、教育センターや企業内で相談員として勤務。2008 年、セラピールーム「アート・オブ・セラピー」を設立し、自己調整とレジリエンスのある生活を提案し続けている。
著書に『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社)、『不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方』(大和出版)、『「今ここ」神経系エクササイズ』『「いごこち」神経系アプローチ』(梨の木舎)、翻訳書に『子どものトラウマ・セラピー』『トラウマによる解離からの回復』(国書刊行会)、『レジリエンスを育む』『発達性トラウマ治癒のための実践ガイド』(岩崎学術出版社)など。
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ブログ: https://ameblo.jp/artoftherapy/
HP「ART of therapy」: https://assakijp.wixsite.com/artoftherapy/profile

【書誌情報】
『「不安ぐせ」のある子と「だいじょうぶ」を育む ポリヴェーガル理論』
著:浅井咲子 / イラスト:なか


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