東海道一の難所が観光地に激変?江戸の庶民を熱狂させた「箱根七湯」【眠れなくなるほど面白い 図解 神奈川の話】

江戸時代は防衛・交通の要衝だった箱根宿

東海道の難所から人気の観光地へ

 江戸時代、現在の神奈川県域の東海道には、川崎、神奈川、保土ケ谷、戸塚、藤沢、平塚、大磯、小田原、箱根の9つの宿場町がありました。そのうち最難所の箱根宿には、芦ノ湖畔に大名や旅人の往来を厳しく監視する「箱根関所」が設置されていました。

 元和4年(1618)、江戸幕府は山と湖に挟まれた箱根の地形を利用して関所を設置し、「入り鉄砲に出女」を厳しく取り締まりました。

 特に箱根関所は、人質として江戸に住む大名らの妻子の脱出を防ぐのが目的で設置されました。一方で、箱根山地においては地形上の問題から、箱根関所だけでは取り締まりが行き届きませんでした。

 そこで箱根周辺の根府川(小田原市)・矢倉沢(南足柄市)・河村(山北町)・谷ヶ(山北町)・仙石原(箱根町)の5カ所に、脇道での取り締まりをする裏関所も設置されました。

 また、江戸時代後期には「伊勢参り」や「箱根の温泉」を目指す庶民の旅が流行。「箱根七湯」の湯治場は「一夜湯治」として、多くの湯治客が訪れる人気のスポットとなりました。

 特に箱根神社への参拝や、芦ノ湖周辺の絶景、甘酒茶屋での休憩などが人気で、現代に通じる箱根の観光文化は、当時の庶民の旅によって形作られたといえるでしょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 神奈川の話』監修:神奈川県立歴史博物館 館長 望月一樹

【監修者紹介】
望月 一樹(もちづき・かずき)
神奈川県立歴史博物館館長。昭和36年(1961)横須賀生まれ、鎌倉育ち。駒澤大学文学部歴史学科を卒業後、神奈川県史資料の整理作業に携わり、昭和63年(1988)に川崎市市民ミュージアムの歴史担当の学芸員、その後学芸室長となる。平成29年(2017)に横浜にあるシルク博物館の学芸担当課長、平成30年(2018)からは神奈川県立歴史博物館の学芸部長に就任し、令和3年(2021)から現職。学生時代は日本古代史を研究していたが、学芸員になってからは江戸時代を中心に川崎をフィールドとして調査研究を行っている。共著に『博物館の仕事』(岩田書院)など。また「律令制下における橘樹郡の様相」(『史叢』95号)や「ペリー来航時における川崎沿岸地域の様相」(『川崎市文化財調査集録』54集)など論文も多数。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神奈川の話』
監修:神奈川県立歴史博物館 館長 望月一樹


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