唯一無二の馬券師・弥永明郎『伝授』第32回 馬によって得意不得意の条件があることについて伝授

 器用に一周競馬をこなす馬がいる一方、ワンターンしか走れない馬がいる。右回りあるいは左回りでしか結果を出せない馬もいる。

 今回はこういった馬の得意不得意がどうして発生するのかについて俺の考えを伝授したい。

一周競馬の適性は歩幅を変えられるかどうかが大きい

 コーナー4つのいわゆる一周競馬が苦手で、ワンターンでしか結果を出せない馬がいる。
 だけど、俺から言わせれば「本当にコーナー4つが苦手なの?」と思う。なぜなら、一頭だけで走らせれば、どの馬だってしっかりコーナーを回って走ってくる。

 ただ、競馬では一頭で走れるということはあり得ない。器用な馬というのは馬ごみの中で狭いところを通らなければならなくなった時に、騎手の指示に合わせて歩幅を小さくして走ることができるものだ。
 一方、不器用な馬は馬群の中に入ってゴチャついているのに、歩幅を変えられなくて大きいフォームで走り続ける。騎手が頑張ってもスムーズにいかず、首を上げたり、口を割ったり、どうしても反抗して自分の歩幅で走ろうとしてしまう。これは未勝利や1勝クラスのレースではよく見られるシーンだ。

多頭数の競馬になればゴチャつくシーンは多い

 特に中山のフルゲートで内枠なんて引いたら、いつものフォームで走れることはほぼゼロ。とはいえ、中山の1800mはこなせなかった馬も、府中のマイルならこなせることもある。個人的には府中のマイルは人間にも馬にも不利がなくて一番いいコースだと思う。

左が弱い馬は右回りのコーナーで踏ん張れなくて外に流れる

 右回りでしか結果が出ないとか、逆に左回りでしか結果が出ない馬がいる。
 これは馬体の左右バランスが悪い馬に見られることだと俺は思っている。バランスが完璧に整っている馬は少ないけど、たいていの場合は体重移動でカバーできる。だけど、あまりにもどちらかのバランスが悪いと、右回り(もしくは左回り)はもたついたりしてしまう。

ソングラインは左回りでGⅠを3勝したが、右回りだと2戦して2回とも二桁着順のサウスポーだった

 特に2歳馬は馬体のバランスが整っていないことが多い。俺は初めて見る馬はパドックを見て、「これはちょっと右回りだと危ない馬体だな」とか判断するようにしている。

 じゃあ、どうやってパドックで右がダメとか左がダメとか判断するかという話だけど、簡単に言えば“手先の位置”が違うのでそこを見てほしい。またそれに伴って、後ろの歩幅も違ってくるので、そこもチェックするといい。

 これがどのようにレースで影響するのかというと、どうしても弱い側が踏ん張れなくなるから、コーナーを回ってきた時に外に流れてしまう。
 調教ではちゃんと回れていても、レースでは100%で走って徐々にスタミナがなくなってくると、どうしても弱い側がしんどくなってしまう。

GⅠを7勝もした名牝・ウオッカも日本ダービーを含む6勝のGⅠは左回りだった

 特に中山の場合は4コーナーを曲がる前にトップスピードに持ってくることが多いから、いきなりのペースアップでコーナーを回ることになり、負荷のかかる左脚側が弱いと、どうしてもバランスを崩す。

 そして、その後に待ち構えているのは急坂。仮にコーナーを何とかスピードに乗って曲がり切ったとしても、疲れがピークに達すると手前を変えられなくなる。

 もし手前を変えられたとしても、変えた側の脚が弱ければ前に出ないというシーンがたくさんある。これはレースをしっかり見ていればわかることだ。

中山競馬場の4コーナーは左脚が弱い馬には難所となる

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