唯一無二の馬券師・弥永明郎『伝授』第30回 ノーザン系のクラブ馬にはハズレが少ない!? その理由を考える

 シルク・ホースクラブ、サンデーサラブレッドクラブ、キャロットクラブなどいわゆる“ノーザン系”の一口馬主として募集がかけられる馬は、イクイノックスやアーモンドアイなど大活躍する馬がそれなりにいる。なかには全く結果を出せない馬もいるが、他のクラブと比較すれば確率は低い。
 どうしてノーザン系のクラブ馬にハズレが少ないのか? 今回はクラブ馬について俺なりの考えを伝授したい。

どの馬をセリに出すか? どの馬をクラブで募集するか?

 生産した馬の中から、どの馬はセリに出して、どの馬はクラブ馬にするというのは牧場サイドが決める。

 セリに出される馬は、こういう馬をセリに出すから気に入ったら買ってくださいとセリ名簿が配られる。ノーザン系の馬の多くはみんなが欲しがる。億を超える馬も何頭も出る。
 小さな牧場の馬はセリで買い手が決まらず主取りになることがちょいちょいあるけど、ノーザン系の馬で主取りになることはあまりない。

 余談だが、中山競馬場で行われるブリーズアップセールはこれまで活躍した馬がいる一方で、再上場馬も多い。一声で落札されずに、再上場される。いずれ誰かしらが買って、売却率はほぼ100%になる。
 もし気を悪くする人がいたら申し訳ないが、個人的には「正直、これは1つも勝てないかもしれないな」と感じるレベルの馬も中にはいる。2歳ですぐに使いだせるので、それでいいから買う、という馬主もいるけれど、実際はデビューできないケースもあったりする。

 「なんでセリに出すために稽古をやってきて、デビューできなかったんだよ?」と買った側は思うだろうけど、セリで速い時計を出すために無理して稽古をしてきた馬は、その後にガックリ来ちゃうことがある。

シルク・ホースクラブの代表馬:イクイノックス

クラブの馬がそれほど高値にならない理由

 昔は安い馬もたくさんいたけど、最近のクラブで募集をかけられる馬は4000万~5000万円ぐらいがアベレージになった。ノーザン系だと+2000万~3000万円くらいのイメージ。
 それでも、セリで売買される数億円にまでは値が上がらないのは、その値段で募集をかけても売れないからだと思う。一口馬主になる多くの人は、個人馬主にはなれない財力の人だからな。

 とはいえ、実際に元を取ることを考えたら4000万~5000万円だって大変。クロワデュノールのように5000万円の募集で、GⅠを4つも勝ってくれればいいけど、あんなのは特大ホームランなわけで、ノーザン系でも全部が全部活躍するわけではないからな。

2025年の日本ダービーを制し、今後の活躍も大いに期待されているクロワデュノール

・ノーザン系のクラブ馬にハズレが少ないのは「牧場でふるいにかけられた馬」だから

 牧場側が具体的にどういうチョイスをしているかはわからないけど、ノーザン系のクラブでハズレが少ないのは、血統はもちろんのことある程度走りそうな馬を選んでいるんじゃないかと思う。
 前回も似たようなことを書いたけど、「これは良い馬」というのは馬に携わっている人間が10人いれば8,9人は同じ意見を持つからね。

 早い段階で競馬馬になれない馬はわかるから、そういう馬で一口募集をかけることはないと思う。仔馬は成長してくるとまず背が伸びてくるけど、どういう成長曲線で大きくなるかは牧場の人は見てイメージが湧くだろう。これはダメだなとか、これは成長しそうとか。その中で良いと思う馬を選んでクラブ馬にすれば、どれもこれも走らないということにはならない。
 こういう「ふるいにかけられた馬」がクラブ馬となっているから、個人馬主の馬よりもハズレが少なくなるのだと俺は思っているよ。

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