結婚式で「真鯛」が出される本当の理由とは?名作漫画『江戸前の旬』が教える「鯛の習性」と夫婦の絆

「めでたい」だけじゃない!結婚式と真鯛の深い関係

日本の伝統的な結婚式やめでたい席で、欠かすことのできない「尾頭付きの真鯛(マダイ)」。

一般的には「めでたい」という語呂合わせや、赤と白の美しい色合い、姿形の立派さから祝い魚として親しまれてきたと知られています。しかし、真鯛が婚礼の席にふさわしいとされる理由は、単なる見た目や語呂合わせだけではありません。

実は、真鯛という魚の「生態・習性」そのものに、夫婦の末永い幸せを願う深い意味が込められているのです。

ロングセラー寿司漫画『銀座柳寿司三代目 江戸前の旬』(第2話「真鯛(後編)」)のエピソードを交えながら、真鯛が持つ知られざる「夫婦の絆」の秘密を紐解きます。


姿・形だけではない!真鯛の習性に隠された「夫婦の誓い」

魚類の中でも、真鯛は非常に珍しい習性を持っています。それが「一対の相手と一生を添い遂げる」という強い絆です。

一生を同じ相手・同じ場所で過ごす「つがい」の魚

真鯛は一度つがい(つがい=夫婦)になると、一生を同じ相手と同じ場所で暮らすと言われています。仮にどちらか一匹の雄(オス)がいなくなってしまっても、残された雌(メス)はその場を離れず居続けるという繊細で強い習性を持っています。

  • 語呂合わせだけじゃない祝い魚の真意: 「夫婦となったからには、真鯛のように一生同じ相手と末永く仲良く暮らしてほしい」――日本人たちが真鯛を婚礼の席に出してきた背景には、こうした素晴らしい習性への敬意と願いが込められていたのです。

漫画『江戸前の旬』第2話「真鯛(後編)」に学ぶ感動のエピソード

この真鯛の習性をテーマにした感動的なエピソードが、漫画『銀座柳寿司三代目 江戸前の旬』第2話に登場します。

■ 家族を省みず釣りに没頭した父親の「本当の理由」

物語の舞台は、東京・銀座にある「柳寿司」。 ある日、亡くなった父親に対して「家族や自分よりも真鯛釣りを優先していた偏屈な親父だった」と不満と怒りを抱く息子・正幸が店に押しかけてきます。

しかし、柳寿司の三代目・旬が提示した「真鯛の生態」と、釣り名人の常連が釣り上げた「つがいの天然真鯛」によって、驚くべき真実が明かされます。

  • 貧しかった若き日の後悔: 亡くなった父親は、若い頃に駆け落ち同然で結婚し、妻に満足な結婚式も尾頭付きの真鯛も用意してあげられなかったことをずっと悔やんでいました。
  • 妻に贈るための真鯛釣り: 父親が休みのたびに海へ向かっていたのは、自分の趣味のためではなく、「妻のために自分の手で立派な尾頭付きの真鯛を釣り上げ、祝ってあげたい」という一心からだったのです。

真鯛の習性と父親の真意を知った息子は涙を流し、長年の誤解が解けるという感動の結末を迎えます。


寿司職人が握る「真鯛」に込められた想い

江戸前寿司の世界において、真鯛は白身魚の王様として特別な存在です。

柳寿司の三代目・旬は、父親の想いを知った親子に対して、釣り上げたばかりの天然真鯛を心を込めて握り振る舞いました。

単に美味しい食材を提供するだけでなく、食材が持つ背景や文化、そして食べる人の心に寄り添うことこそが、江戸前寿司職人の真髄であることを教えてくれます。


まとめ:真鯛を食べる時に思い出したい「言葉以上の絆」

次に結婚式や祝いの席、あるいは寿司屋で真鯛を目にした時は、ぜひ「真鯛のつがいの習性」を思い出してみてください。

  • 「めでたい」という言葉の響き
  • 鮮やかな赤い姿
  • 一生を添い遂げる真鯛の絆

これらが揃って初めて、真鯛は日本の最高峰の祝い魚と呼ばれるのです。伝統や食文化の背景にあるストーリーを知ることで、いつもの真鯛がより味わい深く感じられるはずです。

◉『江戸前の旬』次回へ続く

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【書誌情報】
『江戸前の旬』
原作/九十九森
作画/さとう輝

銀座『柳寿司』三代目・柳葉旬。柳寿司の末っ子として生まれ、父親の跡を継ぐために寿司職人となって迎えた二度目の春――。寿司職人として大輪の花を咲かすべく、ただ今奮闘中!! 真鯛をけなす息子、真鯛に特別な思いを持つ老母。旬の真鯛の握りは息子の誤解を解くことができるのか⁉

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