「ここで着替える」という場所を決めて、移動の遅れを解消?教室移動に間に合わない子を救う家庭での工夫とは【発達が気になる小学生のおうちサポート帖】

入学してからの「困りごと」とおうちサポート【教室の移動がスムーズにできない】

困りごと【教室移動のタイミングがわからない?】

 小学校の授業では、普段の教室ではないところで授業をすることがあります。体育館、音楽室、図工室、理科室などです。

 「次の授業は、音楽室でやります」「図工の持ち物をもって廊下に並びます」という先生の指示を聞き逃している子、「みんな」という呼びかけに自分もふくまれると思っていなくて気づいていない子。移動することはわかっているのに行くタイミングがわかっていない子。何かに没頭していたり着替えに時間がかかり、気がついたらひとりになっている子。移動することをいやがる子。教室移動がスムーズにできない子など、いろいろな背景がありそうです。

考えられる背景【知らないから不安】

 ふだんとは違う教室は、知らない場所だと不安に感じている場合があります。また、どんな場所か知っていてもその場所で行う活動が受け れられないので、入れないという場合も。

 聴覚過敏などで音の響きが異なる音楽室や体育館に入れないという子、広い空間が苦手で体育館に入れないという子もいます。

 音楽室にある音楽家の写真を怖く感じて音楽室に入れない子もいるかもしれません。

イラスト:こやまもえ

サポートポイント【移動がスムーズになる工夫を考えてみる】

 もしも体育の着替えに時間がかかって移動に遅れてしまう場合は、早く着替えられるよう着替えやすいゆとりのある洋服を着ていくとよいかもしれません。また裏返しに脱いだ衣服を直してから身につけるとその分の時間が加わります。裏返しにならない脱ぎ方を知っておくのもよいでしょう。着替えに集中できない場合は、学校では壁と机の間で着替えるなど「ここで着替える」という場所を決めると、集中することができて時間を短縮できるかも。

 また、子どもによっては、声かけのほうが伝わりやすい子、黒板などに「次は音楽室」など文字に書いたほうが伝わりやすい子がいます。子どもに伝わりやすい方法で先生に伝えてもらえないか相談してみましょう。

 「用意をして並ぶ」の用意とは、何を用意するのかわからないこともあります。何をもって移動するのか具体的に伝えたり、文字やイラストで示して子どもと確認したりしてみてくさい。教室移動のある教科の持ち物をセットにして、手提げかばんにまとめる方法もおすすめ。家庭でもお風呂の前に、下着、パジャマ、タオルなど必要なものを自分で揃えて浴室に行くなどやってみましょう。

サポートポイント【安心できる方法で授業を】

 体育館、音楽室、理科室などが、どのような場所かわかっていても入れないことがあります。子どもの感じ方によって、不安を覚えるのかもしれません

 匂いや、照明の明るさ、音、雰囲気などを過敏に感じる子もいます。どういうことに苦手があるのか、それが環境調整により軽減できるのかなど、本人・先生・保護者で話し合えるとよいですね。たとえばイヤーマフやサングラスなどのサポートグッズを使ったり、廊下や別教室など場所を変えたり「こうすれば大丈夫」「この場所(位置)なら大丈夫」と子ども本人が安心して参加できる方法を探っていきましょう

【出典】『発達が気になる小学生のおうちサポート帖』監修:湯汲英史

【監修者情報】
湯汲英史
公認心理師・精神保健福祉士・言語聴覚士。早稲田大学第一文学部心理学専攻卒。現在、公益社団法人発達協会常務理事、練馬区保育園巡回指導員などを務める。
著書に『0歳〜6歳子どもの発達とレジリエンス保育の本―子どもの「立ち直る力」を育てる』(Gakken)、『子どもが伸びる関わりことば26―発達が気になる子へのことばかけ』(鈴木出版)、『ことばの力を伸ばす考え方・教え方―話す前から一・二語文まで―』(明石書店)、監修書に『心と行動がよくわかる図解発達障害の話』(日本文芸社)など多数。

【イラストレーター】
本田佳世、こやまもえ

【書誌情報】
『発達が気になる小学生のおうちサポート帖』
監修:湯汲英史、イラスト:本田佳世/こやまもえ


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親子で「こうしたらうまくいくかも」をつかんでいくことを目指します。

発達に障がいを抱える子どもや青年と40年以上かかわり、
小学生前後から成人後までひとりの人と向き合う、
公認心理師・湯汲英史先生だからこその視点で紹介します。

「テキパキ通学路を歩かない」
→手をつながず、大人のカバンを触って一緒に歩き、速さや人との距離感を覚える

「着替えに時間がかかる」
→おうちでは「フラフープの中」や「ジョイントマットの上」だけで着替えるルールにして、着替え中に歩きまわらない・気を散らさない習慣を身につける

「当番や係ができない」
→おうちでもくつを並べる、机をふく、洗濯物を外すなどの当番制を導入

「授業中に立ち歩く」
→おうちでは「座るカード」を作成し、このカードが机にある間は座っているゲームを取り入れる

「忘れもの、なくしものが多い」
→ランドセルのふたの裏に「持ち帰るものリスト」を貼る、おうちに「連絡帳・プリント置き場の箱」をつくる

「自分の気持ちを伝えられない」
→おうちでは「気持ちのことばリスト」を指でさすところから

「人の話を聞かない」
→おうちで、ぬいぐるみをもっている人が話すゲームをしてみる。話終わったらぬいるぐるみを相手に渡してだまるなど

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