なぜ本来共存できないはずの茶色と黒色が混ざるのか? 三毛猫にはメスしか存在しない理由【猫柄図鑑】

三毛猫の秘密①「どうして三毛猫はメスしか生まれてこないのか」

 三毛猫はなぜ生まれるのか。どうして三毛猫はメスしか生まれてこないのか。三毛猫をめぐる大きな謎の答え合わせを始めましょう。

 謎を紐解く前に、まずはO 遺伝子とA/a 遺伝子の関係を思い出してみてください。エピスタシス効果により茶キジの毛を生やすO 遺伝子は、A/a 遺伝子よりも優位という関係にあります。つまり、本来は茶キジの毛と黒毛もしくは黒キジの毛は、1匹の猫の毛柄の中で共存できないはずなのです。でも、三毛猫の毛柄には、茶キジの毛と黒毛、あるいは黒キジの毛が共存できています。

 実は、O/o 遺伝子座の遺伝子型がOo 型のときのみ、三毛猫は生まれうるのです。このOo 型の遺伝子型を持てるのは、メスだけなので、必然的に三毛猫はメスになります。では、Oo 型のときに茶キジの毛と黒毛や黒キジの毛が共存できるメカニズムについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

エピスタシス効果で茶と黒の毛は共存できないはず……

でも、三毛猫は共存できている。それはなぜ?

【POINT】
三毛猫になるのは遺伝子型が「Oo 型」のときだけ。

謎を解く鍵は「X染色体不活性化」にあった!

1.三毛猫になる受精卵は……

これは将来、三毛猫として生まれてくるメス猫の受精卵(Oo 型)です。水色の棒は母猫から受け継いだX 染色体(O遺伝子を持つ)、緑色の棒は父猫から受け継いだX 染色体(o 遺伝子を持つ)を示しています(父親からO 遺伝子、母親からo 遺伝子を受け継いだ場合も同じです)。

2.倍々に細胞分裂

受精卵は、母猫のお腹の中で細胞分裂を繰り返します。2個→4個→8個……と細胞のコピーが倍々に増えるなかで、面白い現象が起こります。

3.2本のX 染色体の一方が働かなくなる

ある程度分裂を繰り返しているうちに突然、2本あるX 染色体のうちのどちらかが全く働かなくなります。両親由来の2本のX 染色体のうち、どちらが働かなくなるかは、細胞によって全くランダム(1/2 の確率)です。この現象を「X染色体不活性化」と呼びます。

4.働かなくなったそれぞれの細胞が分裂・増殖して……

一方のX 染色体が働かなくなると、その細胞の実質的な遺伝子型はO 型もしくはo 型となり、その状態でさらに細胞分裂が進み、受精から約2ヵ月後に赤ちゃん猫として生まれます。

5.パッチワークのように毛色に現れる

生まれてきた赤ちゃん猫の体はO 遺伝子のみが働いている細胞の塊の部分と、o 遺伝子のみが働いている細胞の塊の部分といった、パッチワーク状になります。前者の部分では、エピスタシス効果により茶キジの毛が生え、後者の部分では、A 遺伝子かa 遺伝子が働くので、黒キジか黒の毛が生えます。そして、S 遺伝子を持っていれば、お腹側に白い毛が生えて三毛猫となります。

【出典】『猫柄図鑑』監修:山根明弘

【書誌情報】
『猫柄図鑑』
監修:山根明弘


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三毛猫はなぜ雌が多いのか、オッドアイはなぜ起こるのかなどの遺伝的なことから、
柄ごとの特性の違いを解明しながら解説しています。
猫を飼っている人もそうでない人も楽しめる楽しい「猫柄図鑑」です。

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