「チコちゃん」出演の専門家が解説!世界初の鉄橋と水銀鉱山に見る「新しい社会の姿」【眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産】

多種多様さに驚く!【テーマで読む世界遺産】

テーマを軸に読み解くことで、遺産が語りかけるストーリーやその価値がより鮮明に見えてきます。


人類の発展を支えた産業の世界遺産

アイアンブリッジ峡谷

イギリス産業革命のシンボル

 イギリス中部シュロップシャー州にある「アイアンブリッジ峡谷」は、18〜19世紀の産業革命を象徴する世界遺産です。峡谷に架かるアイアンブリッジは、世界初の鉄橋として1781年に開通しました。

 背景には、1709年にエイブラハム・ダービー1世が石炭コークスを燃料に鉄鉱石を溶かす製鉄法を確立し、銑鉄の大量生産を可能にしたことが挙げられます。この技術革新により、橋や工場などの鉄製のインフラを実現。産業発展を支える基盤となって、新しい社会の姿を生み出していきます。同じくイギリスの工業化を物語る世界遺産「ブレナヴォン産業景観」と並び、近代への転換点を現代に伝えています。

DATA

  • 保有国:英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
  • 登録年:1986年
  • 登録基準:(i)(ii)(iv)(vi)

産業革命期のイギリスで発展した大量生産を背景に、輸送効率を高めるために建設された。現在は歩行者専用の橋として渡れる。

FOCUS

全長約60m、総重量約400t。鉄橋の名が峡谷名の由来となった。

【THINK!】技術革新による大量生産は、世界をどう変化させた?


アルマデンとイドリア:水銀鉱山の遺跡

消えゆく水銀の技術を語り継ぐ

 古代から水銀の抽出が行われていたスペインのアルマデンと、1490年に水銀が発見されたスロベニアのイドリアは、いずれも世界最大の水銀鉱山として長らく知られてきました。大航海時代、スペインがアメリカ大陸の各地植民地で銀鉱山の開発を進めると、銀を抽出するアマルガム法に水銀が不可欠だったことから需要が急増します。そうして採掘・精錬施設だけでなく、労働者を支える鉱山都市が形成されました。世界遺産の構成資産として、アルマデンにはレタマル城や宗教施設、伝統的な居住が、イドリアには水銀貯蔵所やインフラ、労働者の居住区や劇場などが含まれます。

DATA

  • 保有国:スペイン、スロベニア共和国
  • 登録年:2012年
  • 登録基準:(ii)(iv)

毒性の強い水銀が規制される現代において、失われつつある技術や鉱山都市の文化を伝える貴重な遺産となっている。

FOCUS

水銀鉱山での教育や医療の歴史をたどれる点も、この遺産の魅力。

【THINK!】水銀が支えた繁栄と、その影で生まれた犠牲とは?

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』監修:宮澤 光 / イラスト:どくだみ三銃士

【監修者紹介】
宮澤 光(みやざわ・ひかる)
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員。北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。跡見学園女子大学非常勤講師。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』
監修:宮澤 光


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